Re:羊羹世界
ある、寒い世界。
いつまでもどこまでも寒い世界。
その世界には羊羹があった。
その羊羹は、生物の体温を受けると鉱物のように硬化する。
またその際強烈な毒性を持つようになり、皮膚などの場合は問題ないが体内などでは即座に吸収されその生物を死に至らしめるのである。
その世界の人々は羊羹を神の聖遺物とし、愛で、敬い、また畏怖をもって接した。
生まれた時から傍らに有り、成長し旅立った先にも有り、死ぬときもまた、傍らに有った。
そういうものである。
しかし、人々は何故かその羊羹を食べようとだけはしなかった――――
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