羊羹世界
黒軸
羊羹世界
ある、寒い世界。
いつまでもどこまでも寒い世界。
その世界には羊羹があった。
そう、羊羹だ。
見た目は蒼く透き通っており、非常に綺麗なのである。
世界のいたるところに自生しており、物によっては山ですら羊羹であった。
その世界の人々は羊羹を神の聖遺物とし、愛で、敬い、また畏怖をもって接した。
生まれた時から傍らに有り、成長し旅立った先にも有り、死ぬときもまた、傍らに有った。
そういうものである。
しかし、人々は何故かその羊羹を食べようとだけはしなかった。
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