第13話「そして訪れる試練の日」
魔女ヤヒュニアによって女の子となり、克巳から克美になった大津克巳。
そんな彼女は伊賀啓介と共にスペードの9とスペードの2のトランプ兵を倒したのだった。
そしてその翌日。
「今日は朝から体調が悪いな……」
「どうしたの、克美?」
「何だか今日は体調が悪くて。学校には行けそうだけどまずかったら保健室に行くよ」
「そうなのね。それじゃあ、行ってらっしゃい」
母親に送られいつものように学校へと向かう克美。
彼女がいつもの教室に入ると、飯塚琴美がこういう。
「どうしたの、克巳?今日は顔色が悪いわよ」
「そうなんだよね。トランプ兵と戦う時に変身してるから、その反動かな?」
「さすがにそれはないと思うけど……」
「まあもしそうならヤヒュニアが何かいっておくはずだし、食あたりか何かだよ」
「とりあえず、トイレに来てちょうだい」
「トイレ?僕は別に下痢気味ってわけでもないんだけど」
「ともかく、トイレで色々詳しく聞かせてもらうから覚悟しなさい」
克美は琴美に有無をいわさないような感じで女子トイレへと連れ込まれた。
まあ、彼は女の子になってから一応女子トイレを使うようにしていたのだが。
「で、一体どこが悪いの?」
「そうだな、説明が難しいけど……」
克美は自分の感じる身体の不具合を説明するための言葉に一瞬詰まる。
というのも、それは今まで彼女が経験したことのない物であったからだ。
「お腹辺りがボディーブローを思いっきり食らったかのように痛いんだよ」
「とうとう来たみたいね。女の子になって三日で来るとは思わなかったけど……」
琴美はそういいつつ生理用ナプキンを取り出したので、
彼女がいわんとしていることは克美にも伝わった。
「うっ……」
「あなたも女の子なんだし、これくらい用意しなさいよね」
「それもそうなんだけど。覚えにくいし、まさかこんな早く『来る』なんて思わなかったよ」
「まあ、面倒でも女の子にとっては大丈夫なことなのよ」
克美は琴美がそういうのに対し、思わずこう返した。
「僕は戦いが終わったら男に戻りたいと思っているんだ。覚える必要はないよ」
克美はそういいつつ空いている個室へと入っていった。
「相変わらず可愛げがないわね……」
琴美はそういった後、小さな声でこう呟く。
「そこがあいつの放っておけないところでもあるけどね」
そしてその日の放課後、伊賀啓介が下駄箱にやってきてこういう。
「今度はスペードの8にスペードの3だ。近くの公園に向かってくれ」
「分かったよ、直ぐに行こう!」
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