第11.9話

「なぁ、沙羅魅これ面白いか?」

「超面白いよ~!」

「マジか~? 2人でババ抜きって小学生かよ」

「何言ってるの!? トランプ最高~!」

「トランプ最高とか言うなよな。変な誤解されるだろ」

「いいじゃん。別に2人きりなんだから何言ったって!」

「まぁそうだけどな。でも、他にやることねぇのかよ?」

「え~、ないよ。ババ抜きじゃ不服なの?」

「別にいやじゃねぇけど、つまんねぇじゃん」

「え~、毎回手に汗握る心理戦が展開されてたまらないでしょ!?」

「盛り上がってんのはおめぇだけだろ。オレからしたらおめぇの目を見ればどれがババかバレバレで退屈なんだよ」

「え~っ、公ちゃんひどい! そんな卑怯な手を使ってたのね!」

「卑怯以前の問題だろ、心理戦の前にポーカーフェイスを身につけろよな」

「しかも、トランプだけに上手いこと言っちゃうのね!」

「別にそういうわけじゃねぇし、おめぇはガガをみならえよな」

「え、なんでここで臥牙丸を見習わなきゃいけないの?」

「は? そこはレディ・ガガだろ!」

「あぁ、ポッポッポッポーカーフェイスってやつね♪」

「おめぇ鳩ぽっぽみたいなノリで言うなよな」

「違うもん、機関車トーマスだもん!」

「そっちかよ」

「トーマス最高~!」

「ちなみに機関車トーマスはイギリスだからうまいこと言えてねぇぞ」


「とにかく、今度こそ激しい心理戦を展開するのよ!」

「おめぇは心理戦より肉弾戦のが得意だろ」

「え~、やだ~。公ちゃんエッチなこと考えてる~」

「ちげぇし、本当のことだろ!」

「やだ、むっつりなんだから~」

「ちげぇし、いいからさっさとカード配れよな」

「え~、また~? なんで毎回沙羅魅ばっかり配るの~」

「それはおめぇが負けすぎんのが悪いんだろ。配りたくなきゃ勝てばいいんだよ」

「そっか、臥牙丸だけにね♪」

「は?」

「だって、臥牙丸は勝って名前なんだよ♪」

「知るかよそんなの、オレはふりかけ親方しか知らねぇし」

「ぶっぶー、今は振分親方って言うんだよ~」

「そんなん知るかよ!」

「もう、各界のロボコップのことなんだと思ってるの~?」

「わかったわかった。おめぇが相撲に詳しいのはわかったからさっさと配れ」

「もうやだな~。相撲の話でムラムラしちゃって~」

「誰も相撲のこと考えてムラムラしねぇし!」

「あ、せかせかだった」

「もしくはムカムカかもな」


「ババ抜きやめよ~」

「やっとかよ」

「だって勝てないんだもん~」

「11連敗する前にあきらめろよな」

「だって、あきらめたらそこで試合終わっちゃうでしょ~」

「今度はバスケかよ」

「選挙だよ~」

「またもその話に戻るのかよ」

「公ちゃん。女の子を大切にしない男は嫌われちゃうぞ」

「トランプ最高とか言っておいてそんなことよく言えるな」

「え、どういうこと?」

「別にわかんなくていいんじゃね?」

「うん。沙羅魅は細かいこと気にしない主義だからいいや~」


トランプを気にしないのは無理な気がします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る