第46話『ずるずる』

つまりさ、1+1は2なわけでしょ?


いや、どうだろう、まず1がなんなのか、っていう問題があるでしょ?


1は1でしょ


いや、1って、そもそも、なに?っていうさ


1は、「ひとつ」ってことじゃない?


いや、じゃあ、ひとつって、思ってるのは誰?


ぼくだし、みんなも、1は1じゃないの


え、そうかなあ、キミの1がボクの1だったことはないような気がする


いやいやいや、1は1だから


うーん、どうだろう。1は10かも知れないじゃん


は? 


いや、キミにとっては1は1でも、ボクにとっては、それは10に思えるときもあるじゃん


あるかなあ


あるのよ、実際、今、キミのこたえは1っていうひとつでしょ? でも、ボクのこたえは10はあるのよ


え、そうなの?


でも、10が本当に10かっていう問題がでてくるけどね


え……


いや、だって、1が1でないなら、10っていっても、10の中身は1を10個なわけで、1がいったい何なのかによって、10も変わるでしょ。


いや……


1と1をたしたときに「2」になるとは限らないのに、10を定義するのはどうなんだろうね、みたいな問題もでてくるわけだ


も、問題って……


そもそもじゃあ、2っていうのは何なのかなっていう



1では割れなかったけど、2では割れるわけでしょ?


そ、そうだよ、そこは確実だよね


いや、確実でもないけどね。



そもそも、割るってなによっていうさ。


いや、割るは割るだし、割り算でしょ


割ってもいいの?


は?


いや、そんなに簡単に割っていいのかなって


いいか悪いかじゃないんじゃ……


うーん、ちょっと問題意識が低いんじゃないかなあ。2は割れるのかもしれないし、1は割れないのかもしれない。でもじゃあ、2は割れるからって、はたして割っていいのかなって? 割れるものなんだから、わっちゃえ、みたいな、ちょっと安易に考えすぎてないかな、みたいな。


ちょっと、何言ってるかわからないんだけど……


1は自分自身だから割れないんだとしたら、2は関係性でしょ。つまり点と線でしょ。


え? そうなの?


ただ、線をどうとらえるかによってまた話かわってきちゃうからねえ。


はあ……


線を割るっていうのは、ちょっとわかりにくいしね。今いえることは、1と2では、まったく違う何かだってことくらいじゃないの?


や、単純に、奇数と偶数と、素数に含まれるか含まれないかって話じゃないの?


うーん、どうだろう、そんな乱暴にくくっちゃいけないんじゃないかなあ


乱暴って……


もっとさあ、1とか2をさ、じっくり眺めていくべきなんじゃないなかあ


そんな難しい話じゃ……


なんなら、ライフワークにしてもいいわけだしさ


もう無理……


無理っていうのさ、自分だけで決めちゃいけないでしょ。だってさ点と線でいえばさ……ごにょごにょ(ずっとのうがきがずるずると続く)……


……………………

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