第26話『不毛』

その会議がいつから始まったのか。


もはや誰一人覚えてはいない。


「仕方がないことを考えていても仕方がない」


「仕方がないという奴が、たいてい一番仕方がない」


「仕方がないなんて絶対にいうな!」


「仕方がないというよりも……どうしようもない」


「どうしようもないことを考えていても、やっぱり、どうしようもないじゃないか」


「どうしようもないという奴が、たいてい一番どうしようもない」


「どしようもないなんて絶対にいうな!」


「どうしようもないというよりも……致し方ないっていうか」


「致し方ないことを考えていても、やっぱり致し方ない」


「致し方ないという奴が、たいてい一番致し方ない」


「致し方ないなんて絶対にいうな!」


「致し方ないというよりも、詮無い」


もはや何の会議だったのかさえわからぬまま、


しかし、会議は一向に終わる気配を見せなかった。


「だからさ、詮無いことを考えていても詮無い――」


そのときだった。


果てしなく続くかと思われていた不毛な会議に、


突然の乱入者が現れた。


ガラガラガラ!


「おい! お前らひとんちの庭で会議すんのやめろよ!」


フミャーッ!


ンニャーッ!


ニャーンッ!


ミャーオッ!


彼らは、蜘蛛の子を散らすようにして次々と姿を消した。


「まったく、毎晩毎晩、なにをそんなに話すことがあるんだか……」


ガラガラガラ! ピシャッ!


仕方がない、また明日ニャー。


                     おわり=^_^=

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