きしむ世界詩

うたがわ きしみ(詩河 軋)

第1話『揺れるにおい』

ススキが揺れるにおいなら

覚えてる

静かな月の匂いだったらよかったのに


炎が燃えるときの

苦いにおい

母の細胞が焼ける音と同じ周波数の


家は野原の真ん中で

狼煙のようにくすぶりながら

崩れ落ちた


私はお月様の歌を口ずさみながら

手のひらをヒラヒラ泳がせて

ただ 踊っていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る