第10話「小ネタ」
客「すいません、アクオスって置いてないですか?」
俺「アクオス……ですか?」
兄ちゃん、それはTVだ。
正しくはアイコスでした。
酔っ払い客「すいません、この煙草ください」
俺「はい。こちらですね。480円です」
客が1000円札を出す。
俺「520円のお釣りです」
客「二つ!ください」
俺「・・・・・・・」
なんで最初に2つって言わなかった?
この辺りから絶対零度がレジ周辺に漂う。
怒りを堪えて同じ煙草を取り、レジでスキャンする。
俺「・・・・480円です」
客はまたも千円札を出し、お釣りを渡す。
だが、何故かそのお釣りを取らず、何故か返そうとしてくる。
俺「あの、これお釣りなんで…」
客「あ、そ。ありがとう」
お釣りを渡すとそのまま千左に右にとフラフラしながら去っていった。この光景を見ていた他の客達から「酔っ払いって嫌だよねー」「あれ酔ってるんですか?なんか薬でもやってますよ」というツッコミが。その可能性はあると思う。
客「あ、すいません。道聞きたいんですけど」
俺「はい。地図出しますね」
俺は地図を出し、調べることにした。
客「あのー、〇〇って居酒屋なんですけど」
俺「はい。ええと…」
客「おい、さっさとしろや。早く、早く!」
俺「……」
地図を見て2秒も経っていないのに、なんで急かされないといかんのだ?
もうこれで完全に探す気が失せた。
俺「あー、店出て左ですわー」
客は感謝の言葉も述べず、何も買わず、出て行った。
わざと間違った場所を教えてやったぜ。
誰がマトモに教えるか、ふざけるなと言ってやりたい。
客「俺、東京から来たんですけど、どっかナンパ出来る場所ないですか?」
俺「さあ、知りません」
そんなことを店員に聞くな。
しばらく何度も聞いてきたが「知らない」の一点張りと客の混雑で諦めて帰っていった。他所でナンパする気なら情報ぐらい仕入れておけ。でも、今時ナンパって。
俺「お会計4806円です。ポイントカードお持ちですか?」
客がポイントカードを出し、スリッドして返す。端数のお金を財布から探すものの、なかなか小銭が見つからない。
俺「よろしければ、ポイントで端数切れますけど」
客「結構です。余計な事しないでくれる?」
俺「……すいません」
何で善意でやろうとしている事なのに怒られなくちゃならないの?大体あんた、ポイント数が1万超えているよ!6ポイント使っても大差ねーじゃん! これは本当にカチンと来た。
酔っ払いの親子(母親50歳ぐらい、娘40歳ぐらい)が来た。どっちも酔っ払いだが、何故か冷凍食品など大量買いしていた。この二人、たまに来るのだが金銭感覚がおかしく、来るときは必ず大量買いする。ともかく、普通に接客して、商品のバーコードを打っていると。
「この店にはクソ不味い餃子しかないんか!」
などと怒鳴りだした。客が言ってるのはカゴに自分で入れた冷凍食品の餃子の事。
ちなみにごく普通で別に不味くない。
「はい、それしかありません」
と、俺は笑顔で言い切った。すると二の句が出なかった客は何も言わなくなる。他にも袋を分けて欲しいだの、この商品はこっちの袋だの、どうでもいい要望に素早く答え、箸などを多めに入れて笑顔で帰してやった。まさに神対応と自画自賛していた。
あるとき、店内で作業中のこと。トイレからノック音が聞こえた。ここで俺は「え……」と疑問符を浮かべた。トイレ前には誰もおらず、女の人が入ったきりだ。
ドアノブには人が入って鍵がかかっており、その証拠にノブは赤色になっている。鍵は中からしかかけられないようになっている。つまり、トイレに入った女性が中から叩いているのだ。しばらくしてフラフラな女性がなんとか出てきた。相当飲んでおり、自分でドアの施錠を解除することができなかったそうだ。連れの男性客はそれを見て大爆笑。女性は立っていられず、しばらく座り込んだままだった。家がすぐ傍なので男性客に連れられ、マンションへと去っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます