50_お弁当

辺りから香る美味しそうな匂いを、僕は曇り空を見て誤魔化す。


でも腹の虫は一向に鳴り止まない。


その時、トンと机に箱が置かれた。


目の前にはクラスメイトの女子が凛と立っている。


「これあげる」


そう言って彼女は女子の輪に戻った。


皆のヒソヒソ声は僕の腹の音にかき消された。

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