第11話

 わたしは悩みに悩んだ末、これ以上考え続けるのをやめた。


 分からないなら、知ればいいのだ。




 アタラの言う、前任者がかけた魔法っていうのが、なんのことで、なにを意味するのか。


 …そもそも、アタラはなんでわたしを異世界に連れて行ったんだろう? ほんとうの理由は?

 きっと、異世界に連れて行くのは誰でもよかったんだと思う。


 でも他の職員の人はアタラの行動に反対しているようだった。

 その反対を押し切ってまで、『被験者』であるわたしを、異世界に連れて行ったのは?


 この世界と、異世界の関係は?

 『被験者』が意味することは?



 よくよく考えれば、おかしな事がいっぱいだ。


「…」


 アタラが前にしてくれたギリシャ神話の話を思い出す。


 開けちゃ行けないハコをあけて、最後に残るのは希望なのだ。たとえ、すべての可能性が他にいってしまっても、自分のもとに希望さえ残ればなんとかなるのではないか、と思う。

 楽観的、なのかもしれないけど。



 アタラに聞いてもはぐらかされるだけだ。

 それに何かを知ろうとしている事は、知られない方がいいかもしれない。



 まずは、そうだ。

 書庫から調べてみよう。

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