第2話 カワラベの噂
「いえ、初耳です」
「そうだろうな。我がオカ研が総力を
「これは3日前の晩の話なんだが、ここの近くに
「おかしな話ね」
「どこがだ?」
「流石、察しがいい。御逆川の水深は深いところでも20cm程度だ。大きな外傷がない以上、事故とも、まして、そのような場所を選んでの自殺とも考え難い」
「確かに、そうだ」
「そこで、こんな都市伝説が広まっている。あの川の神様の怒りに触れた者は、いつかカワラベによって水中に引き込まれ、殺されると」
「ん? その、川の神様とかカワラベってのは何だ?」
「川の神様というのは、御逆川で
「その通り。だからこそ、カワラベの噂が
「興味深いお話です」
「伝えたかった話はそれだけだ。我々は何故
冬子たちは礼をして、如月が退室するのを見送った。
「カワラベの噂ね……カワラベが水害を
冬子は、本棚からこの地方の民俗に関する本を手に取り、静かに呟いた。
「これに関しては冬子の知識がないと、どうしようもないな」
「カワラベですか……祖母から、川で遊ぶときはカワラベに気をつけなさいと、小さい頃よく言われました。特に、大雨が降った後は、カワラベに
「あぁ、それならアタシも聞いたことがあるよ。あれは、カワラベのことだったんだな。むしろ、一度くらい会ってみたいもんだけどなあ」
冬子は本を閉じると、それを本棚に戻し、玲子たちの方へと振り返った。
「とりあえず、現地に向かってみたいところだけれど、溺死事件の調査を先に済ませておきたいから……そうね、現地調査は明日の放課後からということにしましょう。御逆川の水神様について知るのに、明日ほど
「何かあるのか?」
「明日は年に一度の水神祭りの日よ。ユウレイ絵画の件といい、今回の件といい、偶然に恵まれているわ」
「そういやそんな季節か。まぁ、ここまで都合がいいと、必然かもしれないな」
「フフ、これに関しては、喜ぶべきことだわ」
「あの、浴衣を準備したほうがいいですか?」
「その必要はないわ、りさぽん。明日の放課後もここに一度集合して、制服のままお祭りに向かうことにしましょう」
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