語源百景 神話・宗教篇① 言葉に潜む神々
「
最近、音楽番組でよく聞くようになった「インティライミ」も、ケチュア語で「太陽の祭り」と言う意味を持ちます。
インティライミはインカ帝国にとって重要な宗教的儀式で、太陽神インティに感謝を示す場でした。毎年六月下旬(南半球における
現在でもペルーのクスコ郊外では、インティライミが開催されています。開催日の毎年6月24日は、「農民の日」と言う祝日になっているそうです。伝統的な衣装を着た人々が舞い踊る様子は、有名なリオのカーニバル、ボリビアのオルーロで行われるカルナバルと共に、南米三大祭りの一つに数えられていると言います。
このように我々が普段使っている言葉には、思いも寄らない語源を持つものが数多くあります。そこで今回の箸休めでは、身近な言葉の意外な来歴を紹介していきたいと思います。
語源の宝庫と言えば、何と言っても宗教や神話でしょう。
古くから人々の傍らにあったそれは、様々な言葉を生み落としてきました。
中でも紀元前16世紀頃からヨーロッパに存在したギリシア神話は、
英語で大海を意味する「オーシャン」は、ギリシア神話に登場する大河の神「オケアノス」に由来します。また「混沌」を意味する「カオス」と言う言葉は、原初の神々を生み出した空間を語源にしています。「パニック」は
性愛の神エロースは、「エロ」と言う偉大な……ゴホン、いかがわしい検索ワードを生み出しました。対照的にローマ神話版のエロースであるクピドは、キューピッドと言うロマンティックな単語を誕生させています。
反響を意味する「エコー」は、ギリシア神話に登場する精霊から作り出されました。ナルキッソスと言う青年に想いを寄せた彼女は、報われない恋に溺れた挙げ句、声だけの存在になってしまいます。
一方、エコーを
死後スイセンに変わったと言う伝説から、彼の名はスイセンの英訳である「
スイセンと同じく美しい花を咲かすアイリスも、ギリシア神話に登場する虹の女神イーリスを語源にしています。更にイーリスの名は、原子番号77番の「イリジウム」にも採用されています。
「アイリス」と言えば、ミステリーの女王アガサ・クリスティの作品に「黄色いアイリス」と言う推理小説があります。劇中に登場する名探偵エルキュール・ポワロの「
ポワロが登場する作品には、「ヘラクレスの冒険」と名付けられた短編集もあります。また長編「ビッグフォー」には、彼の兄であるアシルが姿を見せます。ネタバレを防ぐためにこれ以上は語りませんが、「アシル」と言う名もまたギリシア神話の英雄「アキレス」をフランス語にしたものです。
余談ですが、ポワロはイギリスのTV局によってほぼ全作品が映像化されています。日本でもNHKで放送され、2016年現在はBSプレミアムでリマスター版が放映されています。
デビッド・スーシェさんが演じ、
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