電柱


コンクリートに刻まれた墨 背中の長さ測り知るも


えれくとろにくすを流すため 生まれた骨たちに


幼き思ひでこれ触れる 


あぁ、何度も転ぶ たるまさんがころんだ紅き日よ


故に 裸足になった日もあっただろうか


あぁ、何度も載せた この子知りませんかの指名手配紙よ


故に 暗闇に迷った日もあっただろうか


あぁ、何度もぶつけた たんこぶの数よ


故に 湿布を貼ってくれた優しさもあっただろうか


長くなった背中たちは


未だ時の峠に戻ることはなく


骨たちを忘れ 


大人はそれを電柱と呼ぶ


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る