第14話 平成の曽根崎心中

城を枕に討ち死にしたい


武士が家計簿を任された時代はもう終わったのさ


息子は独立


案山子になるまで働くつもりだった


俺の体は燃殻で、妻は他人にお酌をする


蔵の中身は減るばかりで、増えるのは証文の嵩ばかり


俺は一国一城の主


城の中身は空っぽで、妻は他人にお酌をする


俺の体は燃殻で 一国一城の主ではなくなった 討ち死にすらも許されない


明日は何処に行こう


田畑がある所がいい


妻を呼んでそう決めた


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