第9話 頑張ってみますか

「でも、やっぱり腕時計がないと敵の居場所も分からないし

空間を移動できないなら、こっちからの攻撃もできないぞ

下手すりゃ周りの家が消しとんじまう」

「そうねぇ」


何かないかな


「ねぇちょっと」

「まだいたの?」


さっき倒した変態の仲間だ


「うっさいわね、私がいつ帰ろうと勝手でしょ?」

「いや、ここ葵の部屋…」

「細かい事言うとモテないわよ」


ウッゼェ

俺と葵のイチャイチャタイムを邪魔してんじゃねぇよ

はよ帰れ


「アンタ達に敵の大体の位置情報をあげるわ」

「急にどういう心変わり?」


いきなり手伝うと言われても信じられるか


「だって、他のヤツが勝ったら子供の姿のままなんでしょ?」

「あぁ、そうかもしれん」

「アンタ達を手伝ったほうが、まだマシってだけだけど

こうなった以上は、どうにかして元の姿に戻してくれる可能性がある方に

賭けるしかないじゃない」


確かに

変なヤツに任せて、そのままになる場合もあるしな


「じゃあ、地図持ってきて

最後に敵を探した時の位置情報と数を書いてあげる」


地図を持ってくると赤ペンで丸印を書いていった。


「ここと、ここ…ここにもいて」

「マジで?こんなに多いのかよ…」


地図に書かれた丸は軽く100個以上

それを覚えているのも凄いが


「ふぅ…ざっとこんなもんね」

「おい、女神」

『何でしょう~』

「さっきの人の能力覚えるの中止、腕時計よこせ」

『え~、それはダメですよ~』


こんな数いるのに探せないって不便にも程がある


「特殊能力覚えたって、今の状況じゃ強くなんねぇんだよ」

『? それはまた、どうしてですか~』

「…葵が子供になってるからだよ!!」

妄想力を鍛えないと使い物になりゃしねぇ!!!」


葵の胸揉ませてあげる発言ですら、ちょっとしたブーストにしか

なりゃしない。

普通の姿なら地球崩壊させるくらいは出来たのに…


『でも、まぁ契約しちゃいましたし

残念でフライパンはやめましょう?』


構えただけで反応するようになった


「くーくん、あんまり無茶ばかり言ったらダメだよ?」

「って言ってもなぁ」

「とりあえず教える事は教えたから帰るわ」

「ん?あぁあんがとな」


幼女が帰ろうとしてる


「いい?絶対に皆を戻すように頑張りなさいよ?というか私を」

「はいはい、分かったよ」


まったく自己中だな


「んで、おい女神…女神?」

「今の話してる間に帰っちゃったよ」


よし、人の話を聞かなかった罰として次は何で殴ろう?

ちなみに今回、手に入れた特殊能力は水を操る能力だったが

それはそれは小便小僧のような威力しかない

しょぼいものだったという




翌日

「くーくん、おはよう」

「…おはよう、葵」


いつも通りに起こしてくれる葵

俺の好きな葵

胸が揺れない葵

マシュマロが消えてしまった葵


「どうしたの?」


ショックはショックだがそれでも葵を好きな事には変わりない


「いや、何でも」


これから葵を元の姿に戻すために頑張らなきゃな

とりあえず、次の相手はどうしよう

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