16話 始まりの予感

近衛の副隊長であるルーフェスはどうやら俺の消える技がどんな物か見たかったらしい。

てか消えるってなんだよ魔法を使ったならわかるけど脚運びやらなんやらで消えるわけが無いだろ?


結果は最初は集中する間もなくやられ数回やった後にヘリックが集中しないと出来ない事を告げる。その後は凄かった……集中してからルーフェスさんに向かうと「凄い!本当に消えた、魔法を使って無いのに!」と大喜びだった。戦績は4勝16敗、俺の負け越しだ。



「すみません、コウタくん長い間付き合わせてしまって……」

「いえ、こちらも色々学べる事があったので」

「そう言って頂けると助かります」





「じゃあ、また明日なーヘリック、ミリー」

「お邪魔しましたヘリック様、ミリー様」

「はい、また遊びましょうー!」

「ああ、また明日」

コウタとミミルさんが帰っていく、ミリーはコウタが連れてきた神狼の子供が偉く気に入ったらしく、帰る時に泣きそうな顔をしてコウタを困らせていた。


「それで、ルーフェスはどうだった?噂の消える技は」

僕は隣でコウタを帰るのを眺めていたルーフェスに問いかける。


「ええ、消えるって言っても少し話を膨張させたのでは?と思ってたのですがね………」

「酷いな、疑ってたのかい?」

「すいません、でも予想以上でした」

「コウタさん凄かったですもんね、メツキガ変わったと思ったらいつの間にかルーフェスの傍にいるんですもの」

「ええ、何度も冷や汗を掻きましたよ」

「だろうね、4本も取られてるしね」

「それについては申し訳ございません」

「いや、いいよそれはコウタがそれだけの力があっただけの事さ」

「そうですか……正直に申しますと私は彼が恐ろしいです」

「恐ろしい?」

「彼は戦ってる最中、私を見ていないんですよ」

「どういうことですか?」

ミリーが首をかしげる、僕もいまいちわからない。


「視線は確かにこちらを向いているのですがね、でも私を見ず別の何かを見ている様な気がするのです」

「………」

「私は彼の様な使い手とは人がごちゃ混ぜになっている戦場では遭いたくないですね、確実に殺られます」

「そう……か」

「今は経験も無く集中する暇がなければあの状態に成れないから何とかなりますが、この先経験を積み技術を磨き如何なる状況でも集中出来る等となれば少なくとも私は止められなくなります………まぁ、いま言った三点は誰にでも当てはまるんですがね」

「コウタが聞いたら動揺しそうな位の高評価だ」

「最悪、何時でも集中出来る様になるだけでも充分に恐ろしい相手ではあります……どうやらあの境地にいくまでが難しいぽい所がありますがね」

「コウタさんは凄いんですね~」

「ふふっ、そうだね」

それに加えてきっとコウタに危険が来れば神狼が助けに来る、それだけでそこら辺の相手じゃどうしようもない。彼は僕達を大物だとか言ってるけど僕からしたらコウタの方がよっぽど大きく見えるよ。







ーーー疲れた、近衛騎士と模擬戦をさせて貰えたのはかなり幸運だろう、でも20戦はやりすぎだ……明日は筋肉痛かな。


「えーヘリック様のお家に行ったのー!」

「んー行ったよ~」

サービスシーンだぞ俺の裸だ!冗談ですネメも居ます、今は二人で湯船に浸かりながらヘリックの家の事を話していた。


「凄かった?大きかった!?」

「凄かったぞ~紅茶が美味かったぞ~」

「いーなー」

「あー、あと第三王女だっけ?そのミリーとかとも友達みたいな感じになった」

「なに感じって?」

「こいつらのお陰で知り合えた、可愛い動物とボールがあれば誰とでも友達になれる」

「ボールに関してはわからないけど……」

二人で湯船を見るとメイルとレックスが気持ち良さそうに湯に浸かってぷかぷかと浮かんでいた。


「ほら、フェイも洗うからおいで」

「ウォン」

フェイも浮かんでる二匹も風呂に入るのが好きらしく風呂に誘うと尻尾を振りながら付いてくる、お陰で洗うのが楽でいい。

「ほれ、ここがええのか?ほれほれ」

調子に乗って色々な所を撫でたり洗ったりしてやったら。

「うぉん……くぅーん……」

あれ?なんか変な空気になり始めた……いやいや俺はノーマル、女の子が好きだ、でもフェイはメスだし……思考が行っちゃいけない所に向かってる!落ち着け!おっぱいの事を考えよう!

ーーーおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい太股



「コウタお兄ちゃん」

「はぁい!」

「………平和だね」

「………そだね」

本当に平和だ、てか魔族とか魔王っていないのかな?明日ミミルとヘリックに聞いてみよっと。

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