ツンデレ

 B型はネコのようだ。と言われることがある。

 実際のネコの血液型はA型が大半なのだが、つまるところB型というのは『ツンデレ』なのだ。


 エピソード1で語ったが、B型は押されることに弱い。

 試しにいつもは勝気で強気なB型のあの子に、「可愛い」と言ってみよう。


「バ、バカっ! 嬉しくなんかないんだからねっ!」


 彼女はモジモジしながら、ぷいっと顔をそらす。表情は見えなくとも、耳が真っ赤なのは一目瞭然だ。

 どうだろう、なかなかよいのではないか。もう少し別角度から様子を見てみよう。

 顔を反らした彼女は、ぷくっと頬を膨らませて怒ったようにしていたが、やがて思い出すようににへっと顔を緩ませるのだ。


 このようになかなかの破壊力をもつB型であるが、別角度の視点がなかったり普段の子行いのせいかいまいち威力を発揮できないまま終わってしまう。


 また、二次元ではギャップの可愛らしさが自慢のツンデレだが、B型のツンデレはちょっとニュアンスが違うように思う。

 なつく人間となつかない人間とのギャップがすごいのだ。

 大好きな人間にはとにかく甘える。猫なで声でごろごろ。

 どうでもいい人間にはとことん冷たい。威嚇する。シャー!

 ツンとデレを人によって徹底的に使い分けている。

 たくさんの人の中で、自分だけに声色を変え、うるうる目で頼られる姿を想像してみよう。

 あれ、ちょっと優越感?


 そして、人見知りのB型は、滅多なことでは気を許さない。

 警戒心の強い彼女は、いつもツンとすまし顔。けれど、何度も会って話すうちに、少しずつ心を開いて行き、段々を笑顔を見せるようになる。

 ある日の別れ際、彼女がシャツの袖をくいっと引っ張って、ぼそりと囁くのだ。

「もう、帰っちゃうの?」


 自らに焦点を当てるエッセイだったはずだが、今回は勝手な妄想シチュエーションで進ませていただいた。皆さんはそれぞれ好きな人などで例えて考えていただきたい。もちろん性別は変えていただいて構わない。

 私の場合、ネコを擬人化したつもりで書いてみた。

 ネコが進む先で寝転んで待ち構えているのが好きだ。読んでいる新聞にわざわざ乗ってくるところが好きだ。寝ている姿をじっと見つめて、ひたすら布団に入れてもらうのを待っているところが好きだ。甘えてくるくせに、撫でると噛んでくるところが大好きなんだ。


 

 ツンデレのB型。私もその要素があるはずだ。

 しかし私の場合だと、好きな子には体を押し付けてみたり下ネタで誘ってみたりと、どうにもうまくいかない。可愛くなってくれない。なぜだろう。

 私もネコになりたい。

 男を手玉で転がすようなしたたかで可愛い女の子になりたい。

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