AB型と私
日本の中で大まかな血液型の分布は、A型が四割、B型が二割、O型が三割でAB型が一割だそうだ。
意外と少ないB型。だからこそ、B型のはみ出し者感がつきまとうのだろうか。それでなくとも異端と言われるB型が、多数決でも圧倒的に不利なのだ。
しかし、それよりもさらに異端で少数の血液型が、AB型だ。
Bがついているだけでも大変なのに、さらにAをも兼ね備えているという特殊部隊だ。
私にはAB型の友達が多い。友人関係があまり長続きしない私にとって、AB型の友人は長く付き合える貴重な存在だ。
B型というのは、普通を嫌う。
右にならえの無個性も、お手本的な正しさもいらない。ちなみに同族を見るとムカムカする。
そんな中、AB型の字のごとく型にはまらない性格が眩しく見えてくる。自分にない新鮮さがあって、飽きない。
以前学校に通っていた時に知り合ったAB型の女の子に、『カラスは夕方になるとどこへ帰るのか』という疑問をもち、自転車でひたすら追いかけるという経験を聞かされたことがある。
また、お祭りの『型抜き』の味が好きで、駄菓子屋で見かけて買っていってあげるとたいそう喜んだ。
周囲はこの奇行にドン引きだったが、私には素晴らしい才能の持ち主のように感じられた。
職場の同僚だったAB型のママ友は、サバサバした気持ちのいい人だったが、働いた金をパチンコに使いまくって、ケラケラと笑っていた。そのうちに「お金が貯まらない」と言い出して、鼻歌をうたいながらバイトを掛け持ちしだした。
ランチに行く場所はいつも決まっていて、食べるものもいつも同じ。皿が個性的な店だったのだが、料理が出てくると必ず「なんでこの皿こんなに長いんだろう」と言った。
私は人にはないものをすぐに欲しがるが、AB型のことを羨んだことはない。
自分に重ねて考えることが出来ないからだ。
すがすがしいくらいに自らの世界を構築していて、誰も寄せ付けない。
祭り好きでミーハーな私は、いつだって特殊な環境に身を置いているAB型を見ているのが大好きなのだ。
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