転生者同士のゲームが始まったが俺は早々にこの世界に住むことを決めました。
イナロ
第一章
レッツ異世界!!
俺は気が付いたら白い空間にいた。
ハァ?何で俺はこんな所にいるんだ?意味が分からん。何だ?夢か?
「グッドモーニング!」
「うおぅ!!」
びっくりした~~。誰だよ!いきなり声かけんなよ!!マジでびびったわ!!
文句を言おうと振り返るとそこにはニコニコした白いワンピースを着た少女がいた。
「お前、いきなり声をかけるな。びっくりするだろうが!」
注意すると申し訳なさそうにして謝ってきた。
フム、さすが俺の夢? だ。
きっちりと謝る事の出来る子供だ。黒髪黒目で髪の長さは腰まであり顔は将来が約束されたようなかわいい感じの子供、まだ成長は見込めるぞ!少女よ!
フム。この子は尊敬を込めてロリと心の中で命名しよう。我ながら安直だがシンプルが一番だろう。
「なんか不名誉な名前を私につけてませんか?」
鋭すぎる!
「そ、そんなことはないゾ」
何だ、その絶対につけただろ的な目は!
少女は少し溜息交じりの呼吸をした。
「フ~。このままだと私の要件が終わらないのでいきなりですいませんがお話しを聞いていただけないですか?学君?」
「おい!俺を君付けだと!俺はお前より年上だぞ!」
何なんだこのロリは!!
「あ~すいません。学君。この見た目で誤解を受けてしまうと思いますが私はあなたより年上なんですよ?」
「ハァ?なめてるのか?お前、小学生だろう?」
上に見ても中学生だろうがな。発達がまだまだだな。
「なんか失礼な事を思ってませんか?」
だから何でそんなに鋭いんだよ!
「そんな事より俺より年上ならお前は何なんだ?」
「上手くはぐらかされた気がしますがまだ自己紹介をしていませんでしたね。では改めまして、ゴホン、私はあなたの世界で言うと神様になります。年齢は秘密です。」
そう言ってウインクする少女。
「そうか。目の前にいるロリは頭痛い系の電波だっか。これは絶望をプラスして心の中で自称ロリ神と命名しよう」
「学君?声に出てますよ~?」
「しまった!!」
「何がしまったですか!!変な呼び方しないでください!!私の事はちゃんと神様と呼んでください!!少しかわいくして神ちゃんでも大丈夫ですよ!」
ぺったんこの胸を張り堂々とする姿が何とも言えずかわいそうだったのでとりあえず頭を撫でてやるか。
「やめてください!!なんで哀れみの目を向けながら頭を撫でるんですか!!」
ウ~ム、まったく神様っぽくないな~。まぁ別に信じちゃいないが(笑)
「それで、自称ロリ神よ。俺に話があったのだろう?それはなんだ?」
「変な呼び方をしないでください!!」
ヤべ!涙目になってしまった!からかい過ぎた!
「ご、ごめん!真面目に聞くから泣かないでくれ!ちゃんと神様って呼ぶから!」
「グスン、グスン。本当ですか?」
「本当だ!!」
おい!自称ロリ神!涙目で上目遣いはやめろ!俺の中で開いてはいけない扉が開いてしまうだろう!
「なんか身の危険を感じます」
もはやツッコまん。
「で、神様。話は何だ?」
「あ!はい。その前に確認なんですが、この白い空間は何だと思いますか?」
「ん?夢だろ?」
「は?」
「え?」
そういえば夢にしては長いような気がするな~
「学君?ここは夢ではないですよ?」
「は?じゃここは何なんだ?」
「学君の世界で言うならあの世に近いですね。三途の川とも言えると思います」
「え?それ、死んでんじゃん。俺が」
「そうですよ?学君は死にましたよ?」
「イヤイヤ!!俺死んだ記憶無いし!!」
「死んだことで記憶が飛んだのだと思います。よくありますよね~」
「イヤイヤ!ね~よ!」
「……どうすれば信じてくれますかね?」
「それを俺に聞きます!?」
くそ!深刻に考えたいが自称ロリ神の所為で深刻になれん!
「まず、整理しよう」
「そうですね。さすが学君です」
「何がさすがか分からんが、ここが夢ではないんだな?」
「そうですよ」
「そこから分からん」
「え!!」
この上も下も右も左も真っ白の空間があの世か。まったく実感ないな。まだ夢の中の方がしっくりくる。
「それに俺はなぜ死んだんだ?俺は一日中部屋にいる人種だぞ。逆になぜ死んだ俺。せっかくギャルゲーにRPGに狩りにと発売日が重なったゲームを無事に手に入れこれからだったのに、睡眠を削ってでもやりまくるだろう!!くそ!!」
「あ~~。死因が知りたいですか?」
「分かるのか?」
「分かりますよ。神様なので」
すまん。忘れてた。
「さすが、神様だ。で、俺の死因は何だ?」
「あ~~~~」
「何だ?言い辛そうだな?」
「いえ、学君の死因は心臓マヒです。これは病院の判断ですが……」
「ん?心臓マヒ?なぜだ?俺に何があった?」
「……聞いても後悔しませんか?」
「するもしないも聞いてからじゃないと判断できんだろう?」
「……分かりました。では、お伝えします」
「お、おう」
俺の死因か、まぁまだ死んだと信じてはいないがこの空間が夢じゃ無いのは何となくだが分かるからな。これで何か分かるかもしれないしな。
「えっと、学君の正確な死因はオ〇ニー死です」
「…………は?」
「先ほどおっしゃっていた三種類のゲームをやりまくり3日以上徹夜をした状態で興奮する飲み物を飲みオ〇ニーをしている時に心臓が耐え切れず学君は死にました」
「……まじで?」
「……はい。亡くなってから最初に発見されたのが学君のお母様です。学君の姿を見た瞬間持ってきた料理を落とし悲鳴を上げました。学君が下半身に何も履いてなくPCの画面が処理中のまま停止していたからですね。お母様はその後、お父様を呼び、両親がPCの画面を見た後、学君に声をかけました。多分ですがお母様を含むご両親は学君が寝ていると勘違いしていました。肩を揺すった時、学君が冷たくなっていてやっと亡くなっていると気が付き病院に搬送しましたが手遅れでした」
「…………」
「学君……心中お察し……」
「殺してくれ~~~~~~!!!」
「学君!?」
思い出した~~~~!!親に!親に!!PCの中身を見られた!!俺の趣味が!性癖が!黒歴史が!すべて知れ渡った!!あぁ~終わった。もう終わりだ。死のう。生きる望みが潰えた。
「学君?思い出しましたか?」
「……思いだした。俺もう死にたい」
「学君はもう死んでますよ!」
「また、蘇る的な流れは?」
「ないですよ?」
「は?」
「え?」
え?俺マジで死ぬの?成仏できないけど。少なくともあのPCを破壊するまでは絶対!
「え~っと。確認が済んだのでやっと本題に入れますね」
「は?これが本題じゃないの?」
「はい。学君に死んだことを確認したらこれからの事を決めてもらいます」
「これからの事?」
「はい!」
何言ってんの?この自称ロリ神は。俺まだ自分の死を直視できてないのに何で先に進めんの?
「学君には二つの選択があります。一つ目の選択は昇天する事、二つ目はこの次元とは違う世界で転生する事の二つです」
「意味が分かりません。詳しくお願いします」
もう、一杯いっぱいだよ。おれ。
「あ、はい。一つ目は分かりますよね?こちらを選んだ場合ですが、学君は地獄行きが決定しています」
「え?地獄なの?」
「そうですよ。親より先に死ぬと地獄に行きます。これは確定事項ですね~」
「マジかよ」
踏んだり蹴ったりだな~。
「遠い目をしないでください!説明を続けますよ~。二つ目のこの次元とは違う世界の転生ですが学君は理解しやすいと思いますよ」
「理解しやすいって?あれか?死んで記憶やらなんやら受け継いで転生無双をするやつは知ってるがそんな感じか?」
「そんな感じです!」
「俺今年三十六だぞ!無理だろ!行ったらまったく動けないぞ!!今まで全然運動してなんだぞ!」
「大丈夫ですよ。肉体は若くしてスタートです!」
「幼児プレイは勘弁だ!!」
「え~~。向こうの世界での成人年齢が十五歳なのでそれに合わせますか?」
「まぁそれなら……ってまだ行くとも決めてないぞ!」
「……もちろんですよ~」
「今の間は何だ!!」
「あはははは」
「笑って誤魔化す気か?」
「では次元の違う世界の転生で良いですね?」
「会話が成立してしてないぞ!!」
「冗談ですよ~~」
「冗談かよ!!怖いわ!!」
「でも、そちらの方がおすすめですよ?」
「おすすめってスーパーの特売品かよ」
「詳しく聞きますか?」
「……頼む」
何なんだ。この自称ロリ神は……。ペースが一々崩される。と言うかこいつのペースにされる。納得いかない。
「まず、向こうの世界に行く事を選ぶと転生者同士のゲームに参加できます」
「転生者同士のゲーム?何だ?俺の他にも転生者がいるのか」
「いますよ」
「無理やり戦わされるのか?」
「いえいえ、違いますよ。ゲームと言うのはある指定されたお題を早い者勝ちでクリアーするとご褒美がもらると言う物です。参加賞ありです」
「お題って?ご褒美は何がもらえるんだ?参加賞はなんだ?」
「質問が多いです!」
「あぁ。すまん」
「順番に答えますね」
「頼む」
「まずお題は秘密です。目玉ですからね。ネタバレはいけません」
「ネタバレって……」
「二つ目はご褒美ですね。これは地球に戻る権利と願いを可能な限り一つ叶えます」
「これは一人だけしかもらえないんだよな?」
「いえ。最大でパーティーの人数までもらえます」
「ほうほう」
ソロでクリアーを目指すか、パーティーで攻略するかは自由か。
「参加賞はスタート時にもらえますがやってからのお楽しみですね。まぁ、もらって悪いものではないですよ~」
「結局は参加しないと分からないってことか」
「ですね。ですがご褒美は中々だと思いますよ~」
「願いを叶えるってのは可能な限りなのか?」
「はい。無理難題でない限り大体可能ですよ?例ですが億万長者は可能ですが、不老不死は無理です」
「フム。地球に戻る権利はどういう事だ?」
「ふふふ。これはなんと!!死ぬ直前に戻り死んだことがなくなります」
「……う~む」
「あれ?おかしいな?喜ぶとこですよ!学君!」
「神ちゃんよ。……実は俺には彼女がいない!!」
「え?知ってますよ?それが何ですか?」
「グハッ!!クソ!身を裂いて言った事をここまで軽く切り捨てられるとは……」
この自称ロリ神は………。膝に力が入らなんorz
「でもでも!生き返る権利ですよ?夢ありませんか?」
「……ないな」
「……なぜか聞いて良いですか?」
何だ?この自称ロリ神は、急に真剣な顔しやがって。そんなに俺の事を知りたいのかね。
「まぁ。簡単な事だ。俺は一日を部屋で過ごす人種だ。もちろん金なんて稼いじゃいない。親のスネをかじってるお荷物だ。両親はもはや俺に何も期待しちゃいない。イヤ、早く死んで欲しいと思っていたかもしれないな。死んだ原因は目を瞑るとして死んでよかったかもしれん。俺が出来る親孝行だったのかもしれない。死んだ事は思いだしたし、もう何も出来やしない。仮に生き返っても無駄な毎日が待っていて、あの親に監視された日々に戻るって事だ。両親のあの目を見るたびに死にたくなってたからな。地獄行きは嫌だから異世界転生するか~」
「違いますよ!!」
そんな涙目で何が違うと言うのだろうか、まぁこの自称ロリ神は本物の可能性が出て来たから自称を取りロリ神と命名しよう。
「何が違うって?」
「ご両親が学君に対する気持ちです!!」
「オイ。ふざけるのもいい加減にしろよ」
自分でもびっくりするくらいドスの聞いた声を出した。自分の声に自分でびびった。
「まず、ご両親が学君に期待していたことは自分の好きに自由に生きてほしいの一つです。そして学君に対し死んで欲しいと願った事はありません。ご両親が学君に対する目ですが……学君をここまで追い込んでしまった自分たちに対する自負がそう見えてしまったとしか言えません」
「ウソだ!!」
「ウソではありません。……ご両親は、いえ、ご家族は学君の死に深く悲しみ、涙を流していました」
「あの家族が俺の為に涙を流しただと!あの四人がそんな事するはずがない!!」
俺は三人兄弟の末っ子だ。両親や上の兄たちが俺が死んで涙を流すとかありえない。もう何年、何十年もまともに喋ってないんだぞ!
「ご家族は学君を信じていましたよ。いつか家族みんなで食卓を囲むその時が来ると、その時、学君の好きなゲームだったりアニメだったりの話をして、皆が笑いあう瞬間を夢見ていました」
「信じられない!!ありえない!!作り話だ!!」
そうだ!!作り話だ!!信じられるか。そんな話。証拠もなんもない!!
「ではなぜ、ご家族は二十年以上も引きこもりを全く注意しなかったと思いますか?」
「俺に何も期待をしていなかったんだろう!!」
「なぜ、お母様は毎日あなたの食事を用意してお部屋に持って行ったと思いますか?」
「残飯処理だろう!!」
「なぜ引きこもって運動をしないあなたがそのような健康的な体型をしているか気が付いていますか?お母様のお食事はちゃんと栄養管理はもちろん、あなたの身体を気にした食事だったんですよ?」
「……」
「お父様はなぜ毎日朝と夜にあなたの部屋を訪れるか分かりますか?そのたびにあなたはお父様にひどい事言っていたのを気が付いていますか?」
「……もぅ」
「ご兄弟ですが一緒にゲームをしようと密かにゲームを練習して近い内にあなたと対戦したいと思っていたそうですよ?ご自身の家族もいるのにあなたを一番に考えていたんですよ?」
「もぅ……やめて…………くれ」
……分かったから。……分かったからこんな俺の為に泣かないでくれ。ロリ神……
あぁ、駄目な奴だな俺は。一体何が駄目だったのかが全く分からん。何で生きてる時に家族の誰でもいいから真っ直ぐ話を聞かなかったのか。
しばらく沈黙が流れ、俺が涙を流すのを神はただじっと見つめ、俺が落ち着いたのを確認して話を続ける。
「……やっと重要なお話しが終わりました」
「……この話をしたかったのか?」
「はい。ぶっちゃけ転生だったり異世界転生は私の中ではそれほど重要ではないのです」
随分なぶっちゃけだな。
「なんでそこまでするんだ?」
「気にしないでください。私の自己満足ですから」
「……そうか」
「まぁ要件は終わったので後は地獄か異世界転生のどっちを選びますか?」
「選択の余地ないな!!」
「異世界転生ですか?」
「うーむ」
「向こうでは頑張ればハーレムが出来ますよ?」
「……マジで?」
「はい!!」
「異世界転生でお願いします!!」
ハーレムがそこにあれば例え火の中、水の中だ!!
「わかりました~!」
「あ!ちょっと待って!」
「何ですか?」
「参加賞あったろ?あれって別の何かに変えられないか?」
「ふふふ。何に変えるんですか?」
何だ?このロリ神は、絶対分かってるだろ。ったく。
「家族に対するメッセージを送りたい」
「参加賞は異世界での重要な物ですが良いんですか?優勝できませんよ?」
「かまわない。それに優勝する気はない。参加賞が目当てだ」
「ふ~む」
「頼む!!」
あぁ。人に頭を下げるとかガチで二十年以上やってなかったわ~。
「ハ~~。分かりました。参加賞をご家族のメッセージに変更いたします」
「ありがとう!!」
あぁ。人に礼を言うのも二十年以上やってないわ~。マジクソヤローだな俺。
「なぜ落ち込んでいるんですか?」
「気にしないくれ」
「わ、分かりました。ではこの紙に送りたいメッセージを書いてください。転生などのワードは駄目ですよ!!」
「分かった!」
今の俺が思ってる事を書いた。感謝とPC破壊を。
「これで頼む。というかこのまま届くのか?」
「違いますよ。学君のPCの中にデータとして送られると思いますよ」
「そうか。PCの中を見られるのは確定か……」
「分かりやすい位置にしますので!!帰ってきてください!!」
「おっと。ちょっと非現実的に逃げてた」
「帰ってきた!」
「神ちゃん。そういえば気になったんだが向こうで死ぬと死ぬよな?」
「もちろんです」
「そ、そうか」
さも当たり前ですよね?みたいなノリだな。
「後、向こうの世界に行ったらクリアーを目指さないといけないのか?」
「そういうわけではないですよ?参加賞をもらって向こうの世界でほのぼのライフをエンジョイする方も少なからずいますね」
「……そうなのか」
「はい。ではこれをどうぞ」
「ん?」
ロリ神から渡されたのはスマホだった。しかも俺のだ。なぜ?
「これは?俺のスマホだな」
「はい。初期アイテムですね。これは参加賞とは別ですよ」
「どうしろと?」
「……向こうで試してください」
「……めんどくなったな?」
「ギク!……そんなことないですよ~」
明らかにギク!ってのが聞こえたが。
「説明しても向こうの世界に行かないと動かないので詳しい説明を中に入れときました。そちらを後でご覧ください」
「分かった」
「ではやっと出発ですね」
「ん?初期装備はこれだけか?」
「はい。それだけです」
「何それ?クソゲーだな」
「まぁ向こうも現実ですかね~。では、レッツ異世界!!」
「ハ?」
俺は神ちゃんが指差した頭上を見上げた。
瞬間。足場がなくなり落ちるのであった。
「フ~~ザ~~~ケ~~~~ン~~~~~ナ~~~~!!ロリ神が~~~~~!!」
俺は落ちていく最中に叫ぶのだった。
「フフフ。引っかかりましたね~。心の中で電波や自称ロリ神など私をバカにした罰です!天誅です」
そう言って胸を張る神。ぺったんこだがな。
「それにしてもあの世界で無事生きていけますかね?う~ん。餞別は他の方に不公平になってしまいます。神は公平です!でもな~。う~ん」
俺が落ちた穴を眺めながら葛藤する神。
結局、神は観察を開始するのだった。
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