ぱんチ。

 いつものバス停にて――


「オ~ストラリアのシドニ~でツマをおそったサメをオットがパンチでゲキタイっ!」

 イブキがそんな記事を読んでいた。


「おぉ! さすがオ~ストラリア! やるコトがなくってキントレばっかししてるキントレのクニってウワサど~りだねっ! コ~エンにフッキンきたえるマッシ~ンがあるクニなんてオ~ストラリアだけだよねっ!!」

 そんな偏った情報を口にしながら続きを読み進める。


「シェリ~ビ~チでサ~フィンをたのしんでいたフタリをおそったのは2、3メ~トルのホホジロザメ――ホホジロっ!? お~! 3メ~トルのホホジロザメにパンチ……ユ~シャだねぇ~」

 イブキがサメのドキュメンタリ~番組で暴れまわるサメの様子を思い出しながら、


「イブキさんもこんなカツヤクしたなぁ~……」

 イブキがそんな事を言っている隣では、


「助けられてたいとかじゃなくって?」


「ん〜……やっつけるほ〜がかっこよくない?」


「強い男性にトキメクとかじゃないワケ?」

 言いながら月夜もあまりわかってなさそうな口調。


「だってサメさんだよっ! しかもホホジロザメっていったらザンニンでド〜モ〜なサメ! それをパンチでゲキタイっ! どこいってもつ〜じるわだいだよっ! シ〜ショクめんせつで「サメをワンパンでたおしたコトあります!」なんていったらソクサイヨ〜でしょ!」


「採用されるかしら?」

 むしろ「その特技をどう活かしますか」という返し技がきそうな気がすると思う月夜。


「なによりカッコいいっ!

 瞳を輝かせながらそういうイブキ。


「ヒロインよりヒ〜ロ〜向きなのかしら?」

 腕をグルグル回した後、正拳突きの練習を始めるイブキにそう思う月夜だった。

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