と~そ~ちュ~。

 いつものバス停にて――


「あっつ~」

 梅雨時の蒸し暑い中、そんな声を洩らすイブキ。


「こんなときはク~ラ~とアイスとゲ~ムないとしんじゃうよぉ~。あしたにはラスアスでるしっ! はやくあしたになんないかなぁ~」


「ゲ~ミングマスクっ!?」

 ふと見たスマホ画面にはそんな代物が写っていた。


「ゲ~ミングマスクって……いえのなかじゃマスクしてないし、ゲ~ムしてるときにマスクなんてする? ポテトもコ~ラもたべれなくなちゃうじゃん」

 イブキがそんな事を言っている隣では、


「今月一四日、せりかけられるハズの黒毛和牛が突然暴れてだし逃走?」

 月夜がグルメ系アプリの中にあった、そんな記事を読んでいた。


「農家さんが数人でなだめるも振り切って逃走」


「ウシさんもヒッシだからねぇ〜」


「四〇〇キロの雌牛……暴れだしたら止められないわね」


「月夜なら片手でなんとかしそ〜だけど……」


「逃げ出した牛は近くの川を泳いでいた! 暑かったのかしら?」


「いやいやニオイをけしてツイセキをふりきるためだよっ! せりからにげだすとか、このウシさんもとニンゲンのテンセ〜シャかも?」


『転生したら黒毛和牛だった件』


 そんなタイトルのラノベをイメ〜ジしながら、そんな事をいうイブキ。


「おいし〜んだから自信もっていいのに」


「……アジにジシンがなくってにげだしたわけじゃないとおもう」

 少しズレた月夜にそういうイブキだった。

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