こ~ラ。

 いつものバス停にて――


「あぁ……一一月二九日は一年で一番素敵な日よね~」

 月夜が恍惚とした表情でそんな事を言う。


「一一月――いい。二九日――ニク――の日っ!」


「良い肉の日……ハンバ~ガ~タワ~良かったわ~……」

 総重量六キロ、価格六万円にもなる肉の山を思い出しながら、


「しかも二九分以内に完食できたら無料なうえに一万円もらえたのよね~」

 福沢先生を手にしながら、


「でも、不思議よね~。あんなにおいし~ハンバ~ガ~を複数人で頂くなんて、一人で六キロなんてなかなか堪能できないわよ」

 月夜以外グル~プで挑んだ面々を思いだしながら、そんな事を言っている隣では、


「くちゅんっ!」

 少し強めの風が吹くと、そんな声とともにクシャミをするイブキ。


「カゼかなぁ~? コ~ラなまないと」

 そんな事を言いながら背負った学生バッグの中から黒い液体を取り出す。


「風邪にコ~ラなの?」


「そ~だよ。もともとコ~ラはカゼグスリとしてカイハツされたんだからっ! ドクペがイリョ~ヨ~コ~ラなんだよっ!!」

 自信満々に大嘘を言う。


「コ~ラのうみのおや――いだいなヤクザイシのミスタ~ペンバ~トンさんはカラメルとそんへんにあったタンサンスイをまぜて「いままでにないアジだ……」といったんだよ」


「……おいし~とは言わなかったんだ」


「イブキさんをみてよっ! まいにちコ~ラでカゼしらずっ!!」


「いや。それはアンタがバカだからよ」

 バッサリそう言い切る月夜だった。

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