ざりがに。

 いつものバス停にて――


「ふみゅ〜……よ〜かいウォッチはやくもシュ〜イからてんらくかぁ〜……ポケモンつよいなぁ〜……らいげつあたりにくるかな? ナツのまもの!」

イブキがゲ〜ム情報を見ながら、少し期待を孕んだ瞳でそう呟く。


「へぇ〜……ザリガニってフランスじゃ高級食材なんだ〜」

グルメ系ニュ〜スを見ていた月夜がなにかの記事を見つけ、そんな事を呟く。


「えっ! そなのっ⁉︎」

イブキもつられる様に反応する。


「そうみたい。ほら――」

そう言いながらスマホ画面を見せる月夜。


「ほ~ほ~ロブスタ~とド~ヨ~にコウキュ~なショクザイ!」


「しかも、殻から濃厚なダシがとれるんだってさ~」


「あっ! でもここに――」

 イブキが下のほうにあった注意書きを見つける。


「チョ~リにはぎじゅつがいってエ~セ~てきにニホンのいっぱんカテ~でチョ~リすんのはおすすめできないってかいてよ」


「う~ん……食べてみたければフランスへかぁ~……残念……」


「いや、イブキさん月夜のおなかならタショ~エ~セ~てきじゃなくてもイケ――」


「ウチは悪食じゃないから」


「えっ!」


「アンタ、ウチをナマズかなんかと勘違いしてるでしょ!」


「でも、そのナマズたべんじゃん!」


「た、食べるケド違うのっ!!」

 女の子としてはそこは認められない一線であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る