けあ。

 いつものバス停にて――


「ほ~ほ~。あのハイカンコ~のファミリ~ネ~ムがコ~カイ」

 イブキがネイル専用の爪やすりでせっせと爪の形を整えながら、器用に右眼で爪と左目でスマホを見分けゲ~ムの記事を読んでいる。


「なにやってんの?」

 その姿にあきれ顔の月夜が突っ込みを入れる。


「ん~? なにってスマホもったままネイルケアしてんだよ。あっ! 月夜しってるマ〇オのファミリ~ネ~ムってなまえとおなじなんだよ」


「いやいや。ウチがが気になってんのはそ~じゃなくって、爪切りで切ればって事なんだケド……」


「うんとね……つめきりはニジュ~つめとかになるからメンド~でも、ヤスリでととおえってたほ~がイイんだよ。カタチもキレ~になるし、メンドイけど……」


「ふ~ん……そ~なんだ。そんな努力してたんだネ」


「スゴい? イブキさんスゴい? もうなんでこんなにがんばってんのにカレシできんないんだろぉ~……もう『あっ! カワイイ、つめきれ~、おっぱいおっきい! つきあって』っていってくるヒトがいてもいいとおもうのに……」


「……初対面でいきなりおっぱいど~のこ~の言う人と付き合う気なの?」

 月夜はあきれ顔で突っ込んだ。

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