第一章

「超ズボラ勉強法」を始める前に ――なぜ既存の勉強法は「できない」「続かない」のか



 まずはじめに、一点だけどうしても皆さんに伝えておきたいことがあります。


 いかなる勉強法・学習法であろうと、その内容を実行できなかったのであれば、それはただのゴミ以外の何ものでもありません。


 世の中には数多くの勉強法・学習法が出回っています。もしかすると、皆さんの中にもそういう本をご覧になった方がいるかもしれません。

 ですが、仮にその本を読んで内容を理解したとしても、その内容にしたがって勉強できなかったのであれば、その本の理解に費やした時間は全くの無駄と言っても過言ではありません。




 どうしてそのようなことが起こってしまうのか。理由としては、大きく二つのことが挙げられます。


 まず一つ目は読み手側の問題。つまり、読んだだけで何もしない、あるいはすぐにやめてしまう場合です。これについては、本人の問題ですのでここでは取り上げません。


 もう一つは、書き手側に問題がある場合です。もちろん内容的にデタラメなものは論外ですので置いておくとして、問題は「確かにこの本の通りに内容を実行できれば効果が見込めるが、実際にそれを実行することが困難である場合」です。


 これはいったいどういうことか。これについては、さらに二つに分けることができます。


 一つ目は、その本の内容が読者の能力の高さに過度に依存している場合。

 簡単に言えば、「その勉強法、普通の人には難しすぎて無理ですよね?」「その勉強法ができる人は、そもそも頭がいい人ですよね?」というような場合です。


 極端な例を挙げましょう。効果のほどはひとまず置いておくとして、「東大と京大の過去問を25年分解いて完璧に理解すればどんな大学でも受かる」という勉強法があるとします。皆さん、こんな勉強法そもそも実行できますか?

 もちろん、できる人もいることでしょう。ですが、圧倒的大多数の人間はこう言いたくなるのではないでしょうか。「そんなもん、できるわけないだろ!」「その勉強法をやるための勉強法を教えてくれよ!」と。本の内容が読者の能力からかけ離れてしまっているのですね。

 このような勉強法は、残念ながらどんなに読者が実行したくても不可能です。


 二つ目は、実行すること自体は不可能ではないが、読者への指示・要求などが多く実行・継続が困難な場合。こちらのパターンは読者との相性の問題もあるのですが、少し詳しく見ていきましょう。

 市販の勉強法ハウツー本などを見てみると、前半には勉強するにあたっての全体的な注意点などが書かれていることが多いです。「ちゃんと復習しろ」とか、「一つの問題集を完璧に仕上げろ」とか、そういう学習全般に関する内容です。

 そして、後半から各教科ごとの勉強法が述べられていきます。数学はこのように勉強しろ、英語はかくかくしかじかを意識しろ、といった具合に、各教科について詳しく解説されているわけですね。

 さて、皆さんはこの「各教科ごとの勉強法」をきちんとこなすことができるでしょうか? もちろん、「できる!」という方はそれで結構です。冒頭で言った通り、勉強法は実行しなければただのゴミですから、ぜひとも本の指示通りに勉強してみてください。余程のことがない限りは一定の効果が見込めるはずです。

 ですが、これをこなせない方も多いのではないでしょうか。そうなんです。このタイプの本は確かに各教科について細かく勉強の仕方が書かれており、それはとてもありがたいことではあるのですが、しかしながらそうであるがゆえに、書かれている方法すべてを実行するのが難しいという欠点があるのです。一言で言えば、やること覚えることが多すぎるのです。

 実際、「こんなにいっぱい覚えられないよ」「いちいちここまでやってられないよ」という人、多いのではないでしょうか? 一つの科目の勉強法を覚えるだけでも一苦労な上に、それが何科目分もあるのです。おまけに、その勉強法をきちんと身につけて、いついかなる時でもその通りに勉強できる状態にならなければならないとなると、気が遠くなってくる方もきっと多いはずです。少なくとも私はそうです(笑)。勉強を始める前に、まず各科目ごとの勉強法を身につけなければならないわけですね。


 なお、この類似型として、速読術や記憶術を身につけて勉強しようというタイプの勉強法も数多く存在します。

 私は速読術も記憶術もマスターしていないため、その効果自体については判断ができないのですが、これも先ほどのパターン同様、学習に入る前にまず速読術や記憶術を身につけるというステップをはさむことになります。まずそれを学ばなければならないということが、大きなハードルになってしまっているのです。


 また、最近は手帳などを活用した勉強法をよく見かけます。このタイプの勉強法はビジネス書でよく用いられる「PDCAサイクル」を応用したものであることが多いです。基本的には計画を立て、それを実行し、チェックして改善するというプロセスを繰り返すために手帳なりに毎日それらを記録していくという内容なのですが、まあ無理ですよね(笑)。少なくとも、中学時代200字程度の日記すらまともに続けることができなかった私などには到底続けられるとは思えません。

 まあ、私のことは置いておくとしても、おそらく毎日計画、実行、評価、改善などということを繰り返し書き続けられる人はそう多くはないと思います。


 ここまでの話をまとめます。

 多くの人は、既存の勉強法を実行・継続することができません。理由は大きく2つ。読者本人にやる気や時間、実行力が不足している、または読者本人にはそれらがあるにもかかわらず、その勉強法自体が実行・継続するには無理があるからです。

 結果、せっかく勉強法に目を通しても、成績の向上につながることはありません。



 既存の勉強法が駄目だと言うのなら、いったいどうすれば成績を上げることができるのか? そう、そこで本書「超ズボラ勉強法」の出番なのです!

 本書は、特に先ほど述べた書き手側の問題を徹底的に排除し、どんな人でも実行可能な、それでいて確実に成績が向上する勉強法となっています。決して「一日10時間勉強しろ」とか「起きている間は常に勉強のことだけを考えろ」などという無茶は言いませんのでご安心ください。


 真面目な話、皆さんは今、単に成績を上げるのみならず、東大卒をはじめとする優秀な人間の思考法に近づく千載一遇のチャンスを得ようとしています。本書を最後まで読み、ほんの半月の間だけ実践していただければ、必ず成果があらわれます。受験や学歴ごときで無駄な苦労をするなどという人生から確実に解放されるのです。おそらくこれ以上のチャンスが訪れることはもう二度とありませんので、どうかこの機会を見逃さないでください。

 私はただひたすらに、皆さんに「できる人」になってもらいたいだけなのです。偏差値60にも届かず、それが原因で就職その他あらゆる場面で無意味かつ不必要な苦労ばかりする、そんな人生を歩んでほしくはないのです。

 どうか「超ズボラ勉強法」をしっかり実践・継続し、本書をゴミにしてしまわないようお願いいたします。



 では、「超ズボラ勉強法」は今までの勉強法とはいったいどこが違うのか、その特徴は? 次回はそのあたりの話について、今回の話を踏まえながら説明していきたいと思います。どうぞお楽しみに。




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