still in love

――忘却

それは多分、人間の最も優れた機能でしょう


だけど何時も理性が懸命に消去する記憶を

本能は何処か望まず罪悪感をもたげてる


生涯忘れられないと思った筈の

まわしき追憶や楽しい瞬間を

少しずつ薄める時間だけが

私たちを正しく導くのでしょうか?


上っ面だけ剥がされた胸の中は

納得や消化の仕様のない傷で埋め尽くされてゆき

いつか慣れて鈍くなり

小さな傷みなど感じなくなる予感に私は恐怖します


コンピュータのソレのように

上書きする事でしか掻き消せない記憶データ

何れ精神メモリ崩壊パンクしてしまいそう


「ねぇ、未だ忘れられない想い出が胸を締め付ける夜があるの。

 淋しくて前に進めなくてとても苦しいの」

「僕は、降り続く雨を思うより必ずや晴れて逝く空が哀しい。

 どんな情感も忘れる日が必ず来るのが怖い」

だから僕は未練をいとう事なく歓迎する


消えてもまだぬくもりの中で

決して忘れられない

そんな今を強く描こう

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