第13回にごたん
ブルーレッド・オンライン
【なにもしてないのに壊れた】
【一夜限りの夢だとしても】
【インターネット・ミーム】
「和人ー、ちょっと来てー!!」
「ん?どしたの、姉ちゃん?」
「画面にこんなのが出て使えなくなったー!」
画面を見ると、真っ赤に染まり、何やら訳の分からない英語の羅列が。
思わず顔面蒼白、思考停止。
「……念のために聞くけど、何したの?」
ラグから回復した俺は、とりあえずお決まりの台詞を言う。
「スイッチ入れて起動しようとしたらいきなり……」
「これ、今流行りのクソコラとかそういうのじゃなく?……あ、姉ちゃんには作れないか」
「何か喧嘩売られた気がするんだけど。……とりあえずどうしたらいいの、これ?」
いろいろな意味で恐怖に怯えるのを理性でもって全力で抑え、結論を告げる。
「もうどうしようもないよ。パーツ交換するか、OSの再インストールしないと……」
「ええー!?ほかにどうにかなら…」
「残念だけど、ならないよ……」
ブンブンと首を横に振る。
1週間後。
結局直らなかったので泣く泣く廃棄、買い替えと相成った。
で、道路沿いの電気屋(固く言うなら家電量販店)へ。
「姉ちゃんさ、パソコン普段何に使ってんの?仕事以外で」
「ネットショッピングとか、かな。和人はやっぱりゲーム?」
「……うん、まあ、ね。でも作ったりする方が多いから、いろいろカスタムしてるよ」
要望とデザイン、価格帯を聞き出し、買い物は無事終了。
家に帰り、夕食後。
ソファに並んで座る。
「和人、今日はありがとうね」
「あ、うん」
「お礼にハグしてあげるぞっ!」
むぎゅ。
「ね、姉ちゃん……わりと恥ずかしいんだけどこれ……」
「でも和人さ、こうされるの好きなんでしょー?」
「う、うん……別に嫌いじゃないけど……」
もう夏になるというのに、姉ちゃんの体は程よくあったかい。
というかやーらかい。Fカップっていいよね。姉だけど。しかも実姉。義理じゃなく。
「ねぇ、姉ちゃん」
「なあに?」
「今日は、いっしょに寝ていい……?」
逡巡するような表情を作ったあと、穏やかに微笑んだ。
「……うん、いいよ」
真っ暗な部屋。
間取りに合わないダブルベッドで、愛する弟の寝顔を見つめる。
私の腕の中ですやすや眠っているその姿は、昔も今も変わらない。
「ん……」
目をぱちぱちさせ、うっすらと開く。
「あれ、起こしちゃった?」
「ううん。何か変な夢、見た」
「どんな?」
「姉ちゃんと結婚する夢」
「まったく、何でそうなるかなぁ。カワイイ奴め」
「でもさ、姉ちゃんとこのまま、ずっと一緒に、いた、い……」
再び微睡みに落ちる弟を見て、思わず笑みが零れた。
弟の顔を自分の胸で、そっと、優しく抱く。
いつの間にか自分も夢の中へ。
ふっと、飛んでいった。
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