処方箋男子

嘉田 まりこ

靴ずれ

 久し振りのデート。


 気合いを入れすぎた私が選んだのは、買ったばかりの履き慣れない靴。


 ……っ痛。


 折角の楽しい時間。痛みを隠して隣を歩いた。


「つ、次はどこに行く?」


『そうだなぁ。あの店も久々見たいし、ほら前に話してた店も行こうか』


 私は笑顔を作って彼を見上げた。


 私のバカ。バカバカバカ。

 なんでこんな靴選んだの?!

 後悔に覆われたその時だった。


『でもその前に!』

『ドラッグストア寄って絆創膏買って、一回休もっか』


「……え?」


『俺が気付かないわけないだろ? お前しか見てないのに』

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