11話 : 封印の玉。
アッサム「除外された者?」
コジー「また新しいのが出てきたな。何だそれ?」
村長「儂ら村長たちのこと……と言ったら分かるかの?」
村長はゆっくりと、祠の横に腰を下ろした。
アッサム「村長たちは前世の記憶がある以外にも、何かあるの?」
村長「……この世界は、幾度となく選ばれた勇者によって救われてきた。だが、それは一時の幸せに過ぎぬもの。100年後には、また魔物は復活し、再びこの世に姿を表すのだ。……また、恐怖が世界を支配する。そんなことが頻繁に起こっていたら、みな、勇者を信じなくなるだろう? 村人らも、想像上の存在らも、誰も勇者に協力をしなくなる。だから【あの方】はみなの記憶を消去するのだ」
シュガー「…理由は分かった。だが、やはりそれでは答えになっていないな。記憶を消すのは一体誰なんだ!?」
シュガーの言葉に村長とウルは顔を見合わせる。そして村長は言った。
村長「…すまないの。それは言えぬのだ。あのお方の名前は口に出来ぬ。ただ、儂らのような除外された者からなら、情報は必ず手に入ると約束しよう」
アッサム「……分かった。ありがとう、村長。今 分からなくても回っていれば分かるんだよね? それならいいや。分かったときに、必ず助けるから待っててね」
村長「ほほほ。楽しみにしておるよ、アッサム。隣の城へはクエストのときの山道を行けば良い。クエストの時にはなかった道が開けておるだろうて」
そう教えてくれた村長に別れを告げ、その場を去ろうとしたとき、後ろから声をかけられた。
赤ずきん「あのっ……こ、これ」
赤ずきんの差し出された手には光り輝くガラスの玉が乗っていた。
コジー「……ビー玉?」
アッサム「ビー玉? …って何?」
シュガー「この玉に良く似たものだ。これのように光ってなどはいないがな」
赤ずきん「封印に、使ってください。……そ、それと…」
赤ずきんは胸の前で手を組み、何かを唱え始める。
赤ずきん「選ばれし勇者とその一行に、赤ずきんの名の下、力を与え給え。時の神の使い、声を導く者なり」
赤ずきんがそう言い終わると、淡く輝いていた光が僕らを包んだ。
思わず目を瞑った僕は、再びかけられた声に目を開ける。
赤ずきん「私から……少しだけど、お手伝い……です。……助けてくれてありがとう、アッサム」
アッサム「えっ……あ、うん! えと、こちらこそありがとう、赤ずきん!」
こうして僕らは はじまりの村ガーネットから旅立った。
赤ずきん「みなに、神の御加護があらんことを」
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【アッサム ー村人ー】13歳(♂)
【ウル ー狼ー】6歳くらい(♂)
【シュガー ー冒険者ー】27歳(♀)
【村長 ー除外された者ー】86歳(♂)
【赤ずきん ー想像上の存在ー】9歳(♀)
【コジー ー守護者ー】30歳(♂)
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