家族サービス

「ただいま~。」

「お帰りなさい、あなた。」

「お帰り、父さん!」

「ちゃんといい子にしてたか?」

「うん。」

「よしよし・・・。」


 どこにでもある、ごく平凡な家庭。しかし、これ以上ないくらい幸せで順風満帆な生活を送っていた。佐藤純、42歳、サラリーマン。職業も年齢も平凡、妻と子供が一人の3人家族であるという点も世間一般的であった。


「今日はちょっと用事があるから遅くなる。」

「分かりました。」

「今日は父さん遊んでくれないの?」

「お父さんは仕事で忙しいんですって。」

「ごめんな、その代わり今度の日曜日に動物園に行こう。」

「やったー!」

「久しぶりに家族水いらずの時間が過ごせせそうですね。」

「ああ、じゃあ行ってくる。」

「いってらっしゃーい!」


「調子はどうですか?佐藤さん。」

「ええ、完璧です。」

「さすがは売れっ子です、この調子でお願いしますよ。」

「はい、任せてください。では次の家に行ってまいります。」


 父親の代わりをする家族サービス業も世間に浸透してきた。次は母親の代わりでもサービスに組みましょうかね・・・。

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