十八
今の恋人はSの死も知っているし、
それで私が自殺しようとしたことも、
それで母と心中しようとしたことも知っている。
少し名の知れたバンドで、
Sの死を悼んでいる曲がある。
時折私の感情が高ぶっている時に、それを聴くと、
恋人は心配する。
少し辛いがいまはもう泣かない。
Sは父のことを知っていたし、
父もSのことを知っていたし。
何度も会っていた。
そんな二人が居なくなったのは、
未だに上手く脳内処理出来ない。
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