12.encounter

熱や煙は上へと向かう。

階段を降りた地下階は、1階と較べると幾らかマシだった。

いやマシな気がした、か。

ボヤでも出火したのだろう、店の奥からも煙がこもり始めている。

これはいよいよウカウカしていられない。


ガシャーン!!

地下フロアの奥の方で什器が倒れる音がする。

あっちか?音を頼りに追従する。

すると、前方の倒れ掛かっていた棚を蹴り倒して、さっきの何者かが現れた。

少女を腕に抱いている。杏奈だった。


「杏奈ーッ!」

ボクは駆け寄る。



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