それのこと
ひたひたと迫る暗い水は足もとを浸す
彷徨える花びらが頬をかすめた
近づいているその気配に
ただ夜の中で名残を惜しめば
漂う香の華やかな薫り
それをいうならば
とりとめもない来し方と
ゆく当てのない往き方の
刹那で途切れること
どうしても離れない自分と
どうしても成れなかった自分の間で
尽きていくこと
叶わないくだらなさに
優しげなさりげなさに
傷を負いすぎたこと
止まらない時間に晒されて
誤魔化される日常に離されて
こぼれてしまうこと
私が追いつけない背中に
私を追う何かが私の背中に
追いついてしまうこと
届かない透明に
届くような一瞬の
つもりのこと
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます