第9話
困ったことが起きた。
ウェインさんが俺に力を与えてあげると言ってきた。
「何で力を貰う必要があるんですかね?」
「もしもの時のためだ」
もしもの時とか、何それ怖い。
「私がいなくなった時やモンスターに襲われる確率は0ではないからな」
そういうとウェインさんは俺が何か言う前に呪文を唱えた。
「えっ?ちょっと何してるんですか!」
「強くなる魔法をかけている」
「勝手に強くしないでくださいよ!」
「強ければいいじゃないか」
何言ってるんだこの人。
魔法をかけられて体が少しだけ光ったが、後は体に何も変化はなかった。
「一体俺の体に何したんですか?」
「簡単な魔法を使えるようにしたことと、魔法への耐性を付けた。あとは肉体を少しだけ強化しただけだ」
「俺は人体改造されたわけですか」
「すまない。こうでもしないとモンスター相手に戦えないのでな」
えっ、ただ冒険するだけなのに戦闘とかあるの?
ウェインさんの世界って緩いけど危険もあるんだな。
それにしても…。
「ウェインさん何で胸が大きめなんでしょうかね?」
「私に聞かれても困る。おそらく筋肉が胸に変換された部分もあるんだろう」
大真面目に答えるウェインさんが少し可笑しかった。
女性になったのに色気を感じないのはウェインさんが男だと言うことを知っているからだろう。
美人で胸もあってスタイルもいいのにウェインさんが元が男だと言うのが残念でならない。
「本当に残念だ」
「何が残念なのだ?」
「ウェインさんが女性になったのに元が男だという事が残念なんですよ」
「そうかそれはすまない」
「謝られても反応に困りますよ」
「山城はどんな女が好きなんだ?」
「なんですかいきなり気持ち悪いなぁ。そうですね清楚で可愛い子が好きですね」
「今の世の中にそんな女はいないぞ」
「きついこと言わないで下さいよ。萎えるなー。これから冒険が始まって可愛い女の子とかと出会えたりするかもしれないって言う俺の淡い期待を砕かないでくださいよ」
「そんな期待をしていたのか?可愛いだけではモンスターに殺されておしまいだ。それにそう簡単に可愛い子に会えると言う保証はないぞ」
「それなら今度いく村にいるかどうか検証しましょうよ」
「いいだろう、それなら早速あそこに見える村に行こう」
「ウェインさん。もし美人がいたらどうします」
「山城に上手い飯を用意しよう。もしいなかったら山城が村で歌でも歌ってくれ」
「なんで俺だけデメリットが大きいんですか。止めてくださいよ。全くもう…」
「わかった。山城と同じ条件でいなかったら私が歌を歌おう」
「よしそれじゃあ。美人や可愛い子を見つけて話すとこまでいきましょう」
「話もするのか山城。何故だ?」
「そりゃあ可愛い子とお話しできれば楽しいからじゃないですか?」
「そういうものなのか」
「そういうものでしょう?」
「それでは行くか」
「そうですね。いきましょう」
こうして俺とウェインさんは村を目指して大草原の中を歩いて行った。
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