第五話 スキル上げ
とりあえず、俺は燃えやすそうな廃屋の傍までに来ていた。
理由は簡単だ。スキル上げをするにしても、なんかこう~スキルの威力を見る目標物がほしかったからだ。
うしっ始めるかっ俺は気合を入れると、俺唯一の攻撃スキルと思われる火の粉を廃屋に向かって使った。
火の粉!
し~ん。
はれ? な~んもでないんですけど? もしかしてスキルさんってば怠けてる?
俺は疑問符を浮かべながら最後スキル火の粉を選択する。
火の粉!
し~ん。
う~ん。と悩みながらも俺は自分のⅯPに視線を向ける。
減ってない。減ってないということは、スキルが発動できていないということだ。
発動できないということは、何かが足りないということだ。
何が足りない? 言葉? 動作? いや俺の体は火の玉だ。ということは、言葉は発せられないし、手とか足とか体でポーズもとれない。ということは、単に集中力が足りないか。MPが足りないかだ。とはいっても、火の粉は俺に元々あった初期スキルだ。
だったら、必然的にMPが足りなくて発動できないというせんはないだろう。ということは、火の粉を発動させるために必要な集中力が俺に足りていないか、もしくは火の粉が常時発動型スキルの可能性だ。
しかしこの可能性も低い。もし火の粉が常時発動型スキルだった場合俺は餓鬼を倒すためにかなりの経験を積んでいる。ということは、レベルの上がった浮遊と同じく火の粉のスキルは上がっていてしかるべきだ。
まぁ火の粉のスキルレベルが浮遊と違ってけた外れに熟練度が必要ならば話は別だが、いくら何でも初期スキルでその可能性はないだろう。
なら、やはり俺自身のスキルを使う時の集中力が足りないだけかもしれない。
ああもう考えてたって仕方ねぇ! とにかく行動あるのみだ!
そう結論付けた俺は、スキル火の粉を使うために廃屋に集中する。
火の粉!
し~ん。
また集中。
火の粉!
し~ん。
何も起きない。だが俺は諦めない。再度集中。そうしていると、なんとなくだが、呪術の力というものが分かってきたような気がする。
うし、再々再度集中! 俺は廃屋を一身に見つめて、スキルを放つ。
火の粉!
パチッ
おっ少し反応した。そう、俺が火の粉と念じた直後に俺の見つめる廃屋の付近で、小さな静電気のような火の粉が、一瞬光ったのだ。
うしっこの調子でいくぞ!
再々々再度俺が集中すると、俺の体からもわっと、靄のような熱気が立ち上がる。
だが俺はまだ俺の体から立ち上がった熱気を開放しない。さらに熱気を練る。そして十分い練り終えたと思った瞬間、廃屋を見つめて念じた。
火の粉!
すると俺が集中していた廃屋に、ぼわっと子供のこぶし大の火の粉が、現れて廃屋の薄板の表面を少し焦がした。
うしっやった! 俺はガッツポーズをとった。
そののちも俺はMPが尽きるまで、火の粉の練習をひたすらにした。
おかげで呪力に+補正が3ほどかかり、MPにも+補正がかかった。
そして、肝心の火の粉のスキルレベルだが、廃屋の壁を焦がすようになり、スキルレベル2まで上がったのだった。
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