閻魔道
鳴門蒼空
第一幕 地獄世界に転生した
第一話 多分火の玉に転生したっぽい
暑い暑い熱いあちいってーのっ⁉
あまりの熱さに目が覚めたら、俺の身体は燃えていた。
そう、もうこれでもか、というぐらいに、全身火だるまになっていた。
早く早く早くっ火を消さなくてはっ⁉
このままでは俺は、全身火傷で死んでしまうっ⁉
水水水水水っ❗❗
俺は自分の身体を火だるまにしている火をなんとか消すために、必死になって水を探した。
しかし俺の視界に入ってくるのは、まるで砂漠のように水分のなさそうな乾ききった大地だけだった。
ああもうっ水分のない土なんかどうでもいい❗ 今は水なんだよ❗ 水が欲しいんだよ❗ 俺の身体を焼き尽くそうとしてるこの火を鎮火するために❗
俺は乾ききった大地になんて目もくれず、全身を焼き尽くす火を消すために、さらに水を探し始めた。
と、俺の視界に一軒の今にも崩れ落ちそうな乾ききった木で造られた一部屋ぐらいしかなさそうな小さな廃屋が目に留まった。
おおっあるじゃんっ人っいるじゃんっ
俺は喜びの声をあげると、喜びいさんで、廃屋へと飛んでいく。
おいっ誰かっ誰かっいないのか❗
俺は一抹の望みにすがって、声を張り上げる。
しかし廃屋から、俺に返事が帰ってくることはなかった。
普通なら、家主が出てくるまで声をからしながら助けを求めるものなのだが、残念ながら俺にその余裕はない。
入るぞ❗
俺はこの廃屋の主に、泥棒や強盗に間違われないように、最低限の声かけを行ったあと廃屋にあると思われる水道を求めて、廃屋に飛んで入った。
廃屋の中は、外からの外観通りに一部屋あるだけで、ザ・廃屋といった感じに、寂れていた。
部屋が一つであろうが、廃屋が寂れていようが、今の俺には関係ないというか、どうでもいいことだ。
俺の目的はただ一つ。
この全身を焼く火を消し止めるための水を手に入れることなのだから。
廃屋に飛び込んだ俺は、ようやく目的のものを見つけた。
それは、水道ではなかったが、水の入っている瓶だった。
俺はもちろん水を見つけた喜びで、喜び勇んで飛び込んださ。
よく中身も確かめずに。
数瞬後。
勢いよく水の入った水瓶に飛び込んだ俺の身体は、火だるまと化した。
あちゃちゃちゃちゃー⁉
そうさ。俺の飛び込んだのは、水瓶ではなく油を貯蔵しとく油瓶だったのさ。
のうもえなうすー⁉
俺はおよそ人の身体から発せられるとはおもえないほどの奇声を上げて廃屋を転げでて、地面に身体をぶつけて、のたうちまわる。
のたうちまわっているあいだ何かを踏んづけたり、巻き込んだりした気がしたが、俺は構わず、のたうちまわる。
そして、天の助けかあるものが、俺の視界に侵入した。
そうそれは、井戸だ。
この乾ききった大地で、唯一無二。
人に潤いを与えられる水を生み出す魔法の道具井戸だった。
もちのろんで、井戸を視界にとらえた俺は、喜び勇んで、なりふり構わず井戸に向かってダイブした。
もちろん井戸に向かう途中何かにぶつかり、俺の身体に接触したそれを、火だるましたりしていたが、残念ながら今の俺に赤の他人様を気遣う余裕はなかったので、全身火だるまと化したなにかのことは、無視して進み井戸に飛び込んだ。
もちろん井戸に飛び込んみ、身体を焼き尽くそうとする火を消したあとに、飛び込んだ井戸の底から、地上に這い出なくてはならないこと。そしてそれが、いかに大変なことかも。俺は考えず、今はただこの全身を焼く灼熱感を消し去りたい一心でだ。
あとのことなど一切気にせず、井戸に飛び込んだ。
さむさむ寒寒寒寒寒⁉
井戸の底。に一瞬けつをつけた俺は飛び上がった。
文字どおり井戸の底から一気に地上までだ。
地上にでた俺は、身体を襲うあまりの悪寒に身体かきだきながらカタカタと全身を奮わせる。
なんだなんだなんだなんだ
さっきは、熱くて今度は寒い⁉ いったい何がどうなっていやがる⁉
俺が混乱していると、何かが俺に向かって飛んでくる。
ななななんだっ!?
俺が石ころのような物を投げつけられた方向へ視線を向けると、そこには全身が焼けただれた体調120センチほどの人間? いや人間ぽい四肢をもった腹の出っ張った何かがいた。
なんだこいつは? 俺が人間ぽい四肢をもった奴を凝視しながら、頭に疑問符を浮かべていると、対象の鑑定に成功しましたという一文とともに、目に見えて理解できる形で、頭の中に情報が浮かび上がってきた。
名前 なし
種族 餓鬼
状態 火傷(小)
レベル 5
HP 5 /25
MP 0
攻撃力 5
防御力 0
素早さ 1
呪力 0
耐性
耐火 ➖10
スキル 噛みつき レベル1
投擲 レベル1
特殊 なし
称号 なし
装備 なし
まるで、ゲームみたいだ。
俺は自分が鑑定した餓鬼のステータスを見てそう思った。
俺がそう思っている間にも、火傷を負っている餓鬼は、井戸から飛び出した俺に向かって駆け出すと、右拳を握りしめて殴りかかってきた。
俺はとっさに餓鬼の拳を右に動いてかわす。
だが、餓鬼は、自分の攻撃をかわされたことなどどうでもいいのか、今度は口を大きく開き黄土色の歯を剥き出しにすると、俺に向かって食らいつこうとする。
餓鬼のスキルにあった噛みつきだ。
俺は餓鬼の噛みつきを回避するために、再度右に移動して、餓鬼の噛みつき攻撃をかわそうとするが、今度は俺の行動を阻害するかのように、石ころが飛来した。
俺は反射的に、石ころの飛んできた方に、視線を向ける。
そこには、複数の餓鬼の姿があった。
どうやら、俺の回りには、今俺の目の前にいる餓鬼以外にも餓鬼がいたようだった。
そういつのまにか俺は、複数の餓鬼に囲まれていたのだった。
かわす先に石ころを、投てきされた俺は、餓鬼の噛みつきをかわすために、再度右に移動しようとした動きをとっさに止めてしまった。
それがよくなかったのか、俺の目の前に口を大きく開けた餓鬼の噛みつきが迫る。
俺は目の前に映し出される餓鬼の黄土色の剥き出しの歯を見て、嫌悪感と恐怖心で、命をかけた戦いの最中で一番やってはいけないと思われる目をつぶってしまった。
しまったっ俺はそう思いながら、目を開けて、餓鬼に対処しようとするが、なぜか先ほどまで目の前にいた餓鬼はおらず、餓鬼に噛まれたはずの傷みも、身体には感じなかった。
俺は不思議そうに辺りを見回した。
すると、先ほど俺に向かって噛みつき攻撃を繰り出してきたと思われる餓鬼が、頭を火だるまにさせながら、地面に転げ回っている姿だった。
? 俺は訳もわからず、頭に疑問符を浮かべていた。
俺がそうした行動をとっていると、いつのまにか俺。いや俺に攻撃を仕掛けて、いつのまにか勝手に火だるまになり、地面を転げ回っている餓鬼に幾つもの影が群がって行った。
そして始まる補食。
頭を火だるまにされて、地面を転げ回っている餓鬼を、いつのまにか地面を転げ回っている餓鬼の回りに集まっていた大量の餓鬼どもが、我先にと群がり始め喰らい始めたのだった。
あまりに凄惨な光景に、俺は口元を抑え吐き気を催しながらも、今しかないと、大量に餓鬼に群がられる餓鬼を目にしながら、餓鬼どもに気付かれぬように、慎重に、けれど素早くその場から離脱したのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
ゴミ箱同様不定期更新です。ただし、6話まで毎日更新します。 m(__)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます