甘×恋クレイジーズ
枕崎 純之助
第一章 ブレイン・クラッキング
第1話 異界貿易士の少年
「ちょっとぉ! 頼んでた物と違うじゃない!」
そう言って客の女が投げつけたブラジャーを両手で受け取ると
東京都内。
都庁にほど近い新宿区の
「カタログはご覧になられましたか? ご注文いただいたのは確かにこの『
女は商売用の赤いガードルに
この4月に18歳になったばかりの
最近、
それでも彼女が
「このカタログ見にくいのよ。こっちのデザインかと思ったじゃない」
女はそう言うと注文品のブラジャーが
どうやら彼女は
(やれやれ。
そうした心の声を完全に胸の内に
「そうですね。確かにその通りだと思います。発行元に
すでに30を超えている自身の年齢を
男としては目のやり場に困る光景だが、商売人としてナメられるわけにはいかない
「せっかく魔界で
「すぐに商品をお取り替えします」
「ほんとに?」
女は
待ってましたとばかりにそう言う彼女に
「ええ。こちらとしてもこのまま手をこまねいているわけにはいきません。
そう言うと
「とりあえずこの返品書類にサインを」
それを受け取ると
「分かってるじゃない。それでこそあなたを
そして彼は
するとその
そして入れ替わりに
すると見る見るうちに
まるで今の光景が現実ではなかったかのように、
「こちらでいかがですか?」
そう言って
彼女は
中から現れたのは
「これよこれ!」
そう言って女はそれを自分の胸にあてがうと、チラッと
その目に
「つけるところ……見る?」
そう言うと女は胸元をキュッと寄せて
「ねぇ。あんたさぁ。そろそろ私のお客にならない? ね? あんたにはいつもサービスしてもらってるから私もサービスするわよ。ギブアンドテイクも悪くないでしょ?」
そう言いながら
(……それでこれからも色々とサービスしろってことか)
女の視線の裏にある
「まいりましたね。夢みたいなお話ですけど、僕まだ未成年ですし、
その落ち着いた口調ほどの
何と言っても
(もう帰りたい。今すぐ帰りたい)
「もう少し大人になったらお世話になりますよ。では。またごひいきに」
「あんもう! ……まあいいわ。その時はサービスするわよ。じゃあね~」
すっかり
(ふぃ~。カンベンしてもらいたいぜ。マジで)
そして夜明けの白々とした空に向かって、先ほどより
「はぁ~……きっついなぁ」
深く息を吸い込むと
そこには今回の注文内容が記されている。
「これも仕事。
そう言うとそれをポケットにしまい込み、夜が明け始めたばかりの、人の姿もまばらな
彼、
本日の
天界やら魔界やらと呼ばれる異界の製品を取り寄せてこの世界で販売し、その逆にこちらの製品を異界に輸出する。
こうした輸出入を
経験を着々と積み重ねている
二つ返事で
大きな運命のうねりが自分を飲み込もうとしていることを、この時の
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