　宇宙にも路地があるといったら笑うだろうか？

　宇宙は自由に飛べるように見えて、実は、超新星爆発の危険宙域、ブラックホールやパルサー等の高宇宙線宙域等を避け、燃費を考慮した上で、航路が決まっているのだ。

　星系の主要惑星同士を繋ぐ航路を、地上の高速道路に例えるなら、そこから系内惑星同士を繋ぐ航路は幹線道。更にそこから衛星や衛星基地に向かう航路は、まさに路地だ。そして、この路地には、まだ星系間航行以前の、いにしえの星系探査の航路が使われていることが多い。

「キャプテン、二時の方向に所属不明の飛行物体が！！　このままだとぶつかります！！」

「落ち着け。レーダーには映ってないし、船のAIも、衝突警戒の警告を通知して来ないだろう？」

「……じゃあ、あれが宇宙の路地に現れるという探査機の幽霊……」

「ロマンがないなぁ……。あれは先達のフロンティア精神。情熱と未知への探求心の名残だ」

　青ざめた顔の新人航海士の肩を叩く。旧式のアンテナに、カメラや観測機器を繋ぎ合わせた小さな機体に、俺は敬意を込めて敬礼を送った。

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