運搬 最後の三日間
ピラミッドってなんか奴隷労働だけど意外とみんなシフト制でそれなりにやってたとか、ビール飲んで楽しくやってたとか、そんな話を聞いたことがあるよな気がする。でもまあ現在の我々の基準で言うと石を丸太とかでえんやこらさって運ぶのはどう考えても大変で、やっぱ奴隷だよなーって感じはする。
という話になったときに、では我々排雪作業員はどうかと。3019年、冬、ネオサッポロでは完全に排雪なんか自動化されてやっていて、そうじゃあなくても、ドローンとかなんかそういうのでできるようになっている。そもそも人類激減しててわざわざ札幌なんかに住まない。どこでもドアが実現している。なんでもいいけど、そういう状態になってね、でもなんか社会科の授業(まだ学校システムが存在している、という仮定の方が非現実的かもしれないが)で、習うわけよ。
「昔は、排雪作業をするときには、作業員がついていて、この人たちは平気で毎日10時間労働をしていたんですよ。時には、11時間休憩なしで外をスコップ持って走りまわっていたそうです」
「ええ~大変~! どうして? なんか悪いことをしたの?」
「ボク知ってるよ、奴隷っていうんだよね、そういうの」
「いいえ、奴隷がいたのはもっと昔のことですよ。この時代の人たちは、ちゃんと給料をもらって、自分の意志でやっていたみたいです。それなりに収入も良くて、楽しくやっていたみたいですよ。終わったあとは鈴カステラとか食べて」
いや別に確かに自分の意志でやってんのよ。金も貰っている。法律上適切かどうかは知らないけど、まあ働いた分は残業代も付く。ただ、運搬はあと3日だかで終わるらしくて、で前から言ってるけどこの業界の人って工数の概念が本当にないんですよ。なので、「やれるだけやる」。
今回、ものすごい雪量のところがあって、どう考えてもここはロータリー一回で食えないだろって思いながらゴンゴン雪落として、20:30現地到着で作業開始しての落とし終わったのが3時くらい。飲まず食わずよ。
そんで、ちょっと一服入るかなって思ったら、すでにロータリーが準備をした別の道に行くぞと。俺もね、言われるかなと思ってはいた。こいつら工数の概念ねえから行くって言うんじゃあねえかな、外で走り回ってんの俺らだけだし。もう終わり近いから焦ってる風だし。あとは大体重機かパト車に乗ってるやつらだから、外は歩ってないからね。言いそうな気がすんなとは思って。だから覚悟はできてたんだけど、同時に、そこ雪落としてったって絶対ロータリーで食いにこれないぞって思ってたら、案の定食いに来れないでやんの。じゃあ今日の最初にそこを落とせば効率よく作業ができたのにね。まあいいけど。
で、まあだから昨日は結構大変でした。ほぼ11時間ぶっ通して作業をした。これはまあ、3019年の彼らからみたら、信じられないえげつない労働だと思う。でも、だからと言って、「大変な労働をしていてかわいそう」も「それでもなんか楽しいことみつけてやってたみたいですよ」もどっちもちょっとムカつくような気もする。後世のお前らに2019年、ほぼ原始時代も同然の俺らの何がわかるのか。なので、ピラミッドを制作した奴隷についての価値判断は差し控えることにします。歴史学者ががんばって考察する分にはいいと思うけど、俺はやめとく。
2019年02月18日 07時11分の測定結果
体重:89.80kg
体脂肪率:27.60%
筋肉量:61.60kg
体内年齢:41歳
しれっと書いたけど、そのあと鈴カステラすげー染みてもりもり食ってしまったりもしたので、体重は微増。これでなー。痩せればなー。もうちょっとなーー。
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