第241話 【羽月視点】わたしの大好きなお兄ちゃん

「おはよう!!お兄ちゃん!!」

「おはよう、羽月」


えへへ。

土曜日の朝は、いつもより早起き。

だって、わたしが大好きで大好きでたまらない、お兄ちゃんを独り占めしたいから。


わたしが朝の挨拶したら、お兄ちゃんもすっごく綺麗で可愛い笑顔で返してくれるの。

それだけで、わたしすっごく幸せな気分になっちゃう。


「お兄ちゃん♡」


お兄ちゃんが朝ごはんの支度してくれてるところに、わたしは我慢できなくなっちゃって…

お兄ちゃんの背中にべったり抱き着いちゃう。

お兄ちゃん、あったか~い♪


「羽月ったら…俺、朝ごはんの支度してるんだよ?危ないよ?」


ちょっと困ったような笑顔をわたしに向けて、わたしのこと心配してくれるお兄ちゃん。

でも、抱き着いてるわたしを無理に離そうなんてしないし、すっごく優しい笑顔のまま、朝ごはんの支度を続けるの。

だからわたし、お兄ちゃんの背中にべ~ったりしたまま、ぎゅ~ってお兄ちゃんの華奢な身体、抱きしめちゃう。


お兄ちゃん、ほんとに腰ほそ~い。

男の子なのに、なんかくびれてるし、ガリガリで固い感じもなくて、むしろ柔らかな感じ。

髪の毛も腰の下まで真っすぐに伸びてて、艶もよくてすっごく綺麗。

お兄ちゃんはこの綺麗な髪の毛を切りたがってるんだけど、わたしもお父さんも今のお兄ちゃんが一番可愛くて素敵だから、そんなのぜ~ったいに許してあげない♪

お料理してるから、今はポニーテールにしてるお兄ちゃん。

もう、すっごく可愛い。

普段あんまり見えないうなじも、今ははっきり見えてて…

白くて、ほっそりしてて、ほんとに綺麗。

本物の女の子でも、こんなに綺麗なうなじ、そうそうないよ~。


お兄ちゃんの背中に顔を埋めて、すりすりしちゃう。

すっごく心地よくて、あったかくて、すっごく幸せ。


「お兄ちゃん♡」

「?なあに?羽月?」

「わたし、お兄ちゃんだあ~い好き♡」

「ふふ…ありがとう」


わたしがお兄ちゃんのこと大好きって伝えたら、お兄ちゃんちょっと恥ずかしそうな、でも嬉しそうな顔でありがとう、って言ってくれる。

お兄ちゃん、ほんとに可愛い。


まつ毛ばさばさで長いし、お目目ぱっちりしてておっきいし、お鼻もちょっとツンってしてて可愛らしいし、顔ちっちゃくて、でもちょっと丸みがあって…

もうとにかく、ほんとにお兄ちゃんの顔って、どこからどう見ても女の子なの。

わたしがちっちゃすぎるから、お兄ちゃんと身長差結構あるんだけど…

お兄ちゃんも男の子としては小柄で、いっつも男の人相手だと見上げる形になっちゃってるの。


お兄ちゃん、男らしくなりたいっていつも思ってるみたいで、いっつもトレーニングみたいなこと、時間がある限りしてるんだけど、ぜ~んぜん筋肉も目立たない。

小柄だけど、身長から考えたら脚すっごく長くて、でも逆に腕は短め。

お兄ちゃん、高校三年生の男子なのに、中学生くらいの可愛い女の子にしか見えないの。


だから、男の子とか男の人が嫌いなわたしは、こんなにも女の子みたいで可愛いお兄ちゃんが大好き。


「羽月、もうすぐ朝ごはん、できるからね」

「うん!!いつもありがとう、お兄ちゃん!!」


お兄ちゃんが作ってくれるご飯、す~っごく美味しい。

いつもわたしやお父さんのこと、一生懸命考えて作ってくれるから。


うちのお母さん、わたしが生まれてすぐに死んじゃったから…

お母さんってどんなのかなって思ってたんだけど…


お母さんって、うちのお兄ちゃんみたいなのかなって、最近ず~っと思ってる。


だって、お兄ちゃんい~っつもわたしが喜ぶこと、してくれるし。

わたしが困ってたら、すぐに助けてくれるし。

わたしが悪いことしたら、ちゃんと叱ってくれるし。

で、わたしが甘えてきたら、もうとろけちゃいそうなくらい甘えさせてくれるから。


お兄ちゃん、お母さんみたいに優しくて、可愛くて、ほんとに大好き。




――――




「えへへ~♡お兄ちゃん♡」


朝ごはんも終わって、お兄ちゃんが台所でお片付けをして…

終わってからリビングまで来たところに、わたしはお兄ちゃんにべったり抱き着いちゃう。

お兄ちゃんの胸に顔を埋めて、思いっきりすりすりしちゃう。


大好きなお兄ちゃんにぎゅ~ってできて、わたしほんとに幸せ♪


「ふふ…羽月はほんとに甘えんぼさんだね」


お兄ちゃんも、わたしが甘えてくれるの嬉しいから、わたしのこと優しくぎゅ~ってしてくれて…

わたしの頭、すっごく優しくなでてくれるの。


お兄ちゃんがこうしてくれるだけど、わたしもうとろけちゃいそう。

そのくらい、幸せ。


お兄ちゃんはわたしだけのお兄ちゃんだから、誰にもあげない。

ずっとず~っと、わたしと一緒にいてほしい。

そう思ったら、わたしはもっとお兄ちゃんの胸にすりすりしちゃう。

お兄ちゃんの身体、もっとぎゅ~ってしちゃう。


お父さんは最近、お仕事忙しいみたいで、今日もまだ寝てる。

前にわたしがお父さんを起こしにいこうとしたら、お兄ちゃんが――――




――――お父さん、いつも俺達のためにい~っぱいお仕事してくれてるから、疲れてるんだよ…だから、もっと寝かせてあげよ?――――




――――って言って、わたしを止めてくれたの。


お兄ちゃんがお父さんのことほんとに大切に思ってるのがすぐに分かっちゃった。

だからお父さんもお兄ちゃんのこと、大好きなんだね。


わたしもお父さん大好きだから、疲れてるのを無理に起こしちゃだめ、って思ったの。


だから、お父さんが寝てる間にわたしがお兄ちゃんにい~っぱい甘えちゃう。

お兄ちゃんのこと、わたしが独り占めしちゃうの。


「羽月はなんで、そんなに俺の事好きなの?」


お兄ちゃんにぎゅ~ってしてたら、お兄ちゃんが優しい笑顔で、そんなこと聞いてくる。

なんでそんなこと、聞いてくるのかな?

わたし、いっつもお兄ちゃんに言ってるのに。


「なんでって、わたしいっつもお兄ちゃんに言ってるよ?」

「え?」

「お兄ちゃん、本物の女の子より可愛いし」

「!そ、それは…」

「面倒見すっごくいいし、優しいし、お母さんみたい」

「そ、そうかな?…お母さんみたいは、違うんじゃ…」

「それに、わたしがぎゅ~ってしてきたら、すっごく可愛がってくれるし」

「だって、羽月は可愛い妹だから…」

「お料理もすっごく美味しいし、家事ぜ~んぶしてくれて…お金の管理まできっちりしてくれて…」

「それは、俺の仕事だと思ってるから…」

「なのに、自分のお仕事もぜ~んぶきっちりこなしちゃうし、お勉強もできて…」

「あ、あはは…」

「もらったお給料とかも、自分じゃぜ~んぜん使わないのに、わたしやお父さんのためにだったら、惜しみなく使ってくれるし…」

「二人が喜んでくれるのが、一番嬉しいから…」


ほんとにお兄ちゃんって、自分のことわかってないんだから。

こ~んなにいつもいつも、わたしが喜ぶことい~っぱいしてくれて…

わたしが大好きになっちゃうことしかしないのに。


いつもこんな風にされたら、誰だってお兄ちゃんのこと、大好きになっちゃうに決まってるもん。


でも、そんな無自覚天然なお兄ちゃんも可愛くて大好き。

だから、わたしいっつも、わたしがどれだけお兄ちゃんが大好きで大好きでたまらないのか、いくら言っても足りないくらい言っちゃうんだから。


「お兄ちゃん、分かってる?」

「え?」

「お兄ちゃんがそんなんだから、お兄ちゃんのこと大好きな人がい~っぱい増えてるんだからね?」

「え…そ、そんなことない…よね?」

「お父さんなんか、暇さえあればお兄ちゃんのこと可愛がってるし…香奈ちゃんとか、香澄ちゃんとか、めっちゃくちゃお兄ちゃんに懐いてるし…香奈ちゃんのおばあちゃんだって、お兄ちゃんのことめっちゃくちゃ可愛がってるし…美鈴ちゃんなんか同い年なのにめっちゃくちゃお兄ちゃんに甘えてるし…」

「も、もういいから…」


あ、お兄ちゃん顔真っ赤にして恥ずかしがってる。

すっごく可愛い。




――――




「うう…なんで俺にこんな…」

「えへへ♡お兄ちゃんほんっとに可愛い♡」


お兄ちゃん、めっちゃくちゃ恥ずかしがってる。


今のお兄ちゃん、ちょっと前にお父さんにお願いされて着せられてた、お母さんのセーターとスカート、着てるから。

いつも一つに束ねてる髪の毛も、ヘアゴム外してるから、お兄ちゃんの背中で奇麗に広がって、真っすぐに垂れ下がってるし。


お兄ちゃん、そのままでも女の子にしか見えないけど…

女の子の服着ておしゃれしたら、めっちゃくちゃ可愛い女の子になっちゃう。


下着も女の子の下着になってるから、お兄ちゃん余計に恥ずかしそう。

ブラに詰め物してるから、お兄ちゃんの胸、結構自己主張激しい感じで盛り上がってるし。

わたしはそんなお兄ちゃんの胸に顔を埋めて、めっちゃくちゃ甘えちゃってる。


「えへへ…こんなにおっきいのあるんだったら、『お姉ちゃん』って呼んだ方がいいよね?」

「!ち、違うから!俺は男!男だから!」

「え~?でもどう見てもアイドルみたいに可愛い女の子だよ?お姉ちゃん?」

「そ、そんなことないってば!」


お兄ちゃん、見た目こんなに可愛い女の子なのに、自分が男の子っていう意識がすっごく強いのよね。

もう今となってはいつも着けてる、花柄の可愛らしいデザインのヘアピンで前髪を分けて留めてるから…

以前はお鼻から上ぜ~んぶ隠れてた顔も、分け目のある左半分は見えるようになってるの。


左半分しか見えてないのに、めっちゃくちゃ可愛い顔なのがすぐにわかっちゃうんだから。

お兄ちゃんがヘアピン着けるようになってから、お兄ちゃんを見る人み~んな、お兄ちゃんの顔に目を惹かれてるもん。

男の人にナンパとかも普通にされるし、女の人に可愛がられるのも普通にされるし。


「お兄ちゃんは、誰が見てもさらいたくなっちゃうくらい可愛いんだから…だから、だめだよ?ヘンな人にホイホイついていったら」

「そ、そんなことないってば…」

「あるの。お兄ちゃんはわたしだけのお兄ちゃんなんだから、わたし以外の人になんか、ぜ~ったいにあげないもん」


お兄ちゃんって、誰にでも優しいし、ほんとに天然で無防備だから…

お買い物とかで一緒に歩いてる時なんか、わたしい~っつもお兄ちゃんにべったりして、お兄ちゃんはわたしだけのお兄ちゃんって、めっちゃくちゃアピールしてるの。


こんなにも可愛くて優しくて、お母さんみたいなお兄ちゃん、ぜ~ったいに誰にもあげないんだから。


「お兄ちゃん♡ちゅ~…」

「!ん、んっ!…」


可愛くて可愛くて、大好きで大好きでたまらないお兄ちゃん見てたら、もう我慢できなくなっちゃった。

わたしはお兄ちゃんを床に押し倒して、お兄ちゃんにちゅーしちゃう。


お兄ちゃん、ほんとはめっちゃくちゃ力強くて、お家でもお父さんでも持てないような重い荷物も軽々持ち上げて運んじゃうくらいなの。

なのに、わたしにこうやって押し倒されて、ちゅーとかされたら、全然抵抗できなくなっちゃうの。

そんなお兄ちゃんが、もうほんとに可愛い♡


いつも思ってるけど、ほんとに女の子にキスしてるみたい。

でも、大好きなお兄ちゃんの唇奪えて、すごく幸せ♡

わたしの下でびくんびくんって震えてるお兄ちゃん、ほんとに可愛すぎ♡


お兄ちゃん、いつまでたっても愛されるのに慣れなくて…

だからいつまでたっても反応が可愛くて…

だから、やめられるわけないの。


「ん…はあ…」


名残惜しいけど、わたしは一度お兄ちゃんの唇を開放してあげる。

あ、わたしの口とお兄ちゃんの口が糸みたいなのでつながってる。

えへへ。


あれ?

時計見てみたら、五分もたっちゃってる。

わたし、そんなに長くしてたかなあ…


「はあ…はあ…」


お兄ちゃん、わたしの下でその可愛い顔真っ赤にしてくったりしちゃってる。

もお、なんでこんなに可愛いの?

こんなに可愛いお兄ちゃん見たら、わたしもっとお兄ちゃんにキスしたくなっちゃう♡


「お兄ちゃん…わたしもっとお兄ちゃんにちゅーしたくなっちゃった…だから、するね?ん…」

「!は、はづき…やめ…んっ…」


抵抗したくても、身体が動かなくてできないお兄ちゃんの唇を、わたしはまた奪っちゃう。

お兄ちゃんと、お口でつながってる…

すっごく心地よくて、すっごく幸せ。


「くあ~…また遅くまで寝てたなあ…おはよう…」


わたしがお兄ちゃんを押し倒してちゅーしてるところに、お父さんが起きてきちゃった。

お父さんの目が、わたし達の方に向いちゃう。


「!おお…ほんとに羽月は、涼羽のことが大好きなんだなあ…」


お父さん、わたしとお兄ちゃんが仲良いのをすっごく喜んでくれてる。

だから、わたしがお兄ちゃんにちゅーするのもすっごく嬉しいみたい。


お兄ちゃん、今の状態をお父さんに見られるのがすっごく恥ずかしいみたい。

もう真っ赤になってた顔がもっと真っ赤になっちゃう。


「うんうん…涼羽と羽月が仲良しで、お父さん嬉しいなあ」


えへへ。

お父さん、すっごく喜んでくれてる。


わたし、もっともっとお兄ちゃんと仲良くなるからね。

お兄ちゃんは、わたしだけのお兄ちゃんなんだから。


お兄ちゃん、だあ~い好き♡

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