第6話 vsコンビニ強盗
現代において
コンビニ強盗=スライム らしい(ユズハ師匠談)
ユズハ「さて、真田流の武術は一通り教え終わったわけだけど」
孝一「え、そうなんですか?(この人先読み先読みとかしか言っていない気がする)」
ユズハ「ところで、最近、ご近所でコンビニ強盗が出没するそうね。」
孝一「まさか、倒して来いって言う気じゃないでしょうね。」
ユズハ「ナイス、先読み。」
孝一「・・・・」
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孝一「ユズハ師匠によると・・・噂のコンビニ強盗は、今晩このコンビニに出没する率が高いらしい。どういう予測だよ。」
コンビニ店員「お願いしますねぇ」
孝一(・・・すごいやる気ない店員)
深夜12時、1時間後・・・
ヘルメット男「金をだせ。」
孝一(ほんとに来た。)
孝一「やめておいたほうがいい、俺は武術を習っている。」
教え1.まず、相手を威嚇する。
ユズハ「自分は強いというアピールは必要よ。ブルースリーの声、不良のガン飛ばし、ボディービルダーのタンクトップ、ライオンのオスの顔の周りのもしゃもしゃ、すべて威嚇のためなのよ」
ヘルメット「ほう」
ヘルメットスーツの男はナイフを取り出した。
孝一「そんな獲物で俺と戦えると思っているのかー」
教え2.相手の威嚇にビビらない。
ユズハ「威嚇って行為自体がこちら側に勝てないって予想をさせるためのものだからね。こちらの冷静な予測の邪魔になるものは除外、相手に余裕を与え過ぎないようにする。」
沈黙・・・
教え3.沈黙に耐える。
ユズハ「実戦において待ち時間は重要。格闘技なんかではレフリーが『ファイ』なんてやるけど、実戦では誰かが手を出すまで戦いは始まらない。相手が動き出すまで目を離さないこと。あとさりげなく回りも見渡して、ひたすらに先読み、次に起こる行動を予測する。」
ヘルメット男「うらあああああ」
来た、こいつのナイフを避けて、腕を掴んで・・・ってかわされた・・・
ヘルメット男「ちっ」
ユズハは近くの物陰から孝一の様子をうかがっていた。
ユズハ(まずい、あのヘルメット、予想より武術慣れしている・・・)
孝一(投げるのを予想されてるのか。まずいなぁそれしかできないのに・・・)
「えい」
店員が投げたカラーボールがヘルメットに当たった。
犯人はその行為に激情した。
まっすぐ店員へと向かう。
孝一(やばい、あの店員刺される。・・・)
孝一は犯人を止めようと近づいた。
犯人はくるりと向き直って、孝一を捕捉する。
ユズハ「馬鹿・・・」
孝一(動きを読まれた・・・刺され・・・)
・・・・ゴッ
次の瞬間、孝一の動きが変わった。
ユズハ(・・・・あれは壁の前でやっていた動作・・・・)
打撃を受けたヘルメットの男はその場に沈み込んだ。
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孝一は連続コンビニ強盗を検挙したことで町の警察署から表彰されたのだった。
学校でも朝礼時、運動部の後に表彰された。
「あれ、まさか・・」
「近所で有名な不良の・・」
これで少しは母親の孝一への不信感が改善されただろうか・・・
孝一はなんとも釈然としなかった。
次の日、道場ではユズハ師匠が和菓子とお茶を用意してくれた。
ユズハ「まあ、まあ、本当にコンビニ強盗を撃退するなんて・・・夢にも思わなかったわ。」
孝一「・・・・」
ユズハ「あら、どうしたの?もっと嬉しそうにするかと思ったのに」
孝一「全部、師匠の予想通りって訳ですか・・・」
ユズハ「そうね・・・100点中の20点ね。」
孝一「うぐ」
ユズハ「犯人に武術の心得があったとはいえ、真田流が先読みされてやられかけるのはねぇ」
孝一「・・・」
ユズハ「なんというかダサい、ないわーマジないわーという感じよ。」
孝一(なんでそこだけ、チャラ男風なんだよ。)
ユズハ師匠と孝一は和菓子とお茶を黙々といただいていた。
ユズハ(・・・孝一君には荷が重い仕事だった。・・・・それにしても、あのときの動き・・・なんだあれ?)
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