第4話 「貴様らの冒険もここまでだ」

「では、気を取り直して……意見ある者は?」


 手が挙がる。


「闇の騎士よ。発言を許す」

「王道ですが……『だが、貴様らの冒険もここまでだ』と言うのは?」

「シンプルなのも悪くはないな。ここが勇者どもの終焉の地になるのだから」


「ですが、本当に終わりを迎えるのでしょうか?」

「どういうことだ大魔導師?」

「やつら、死しても謎の力で蘇ることがあるそうなので」

「神の加護か。厄介だな」


「では、蘇生を封じる手段を講じるべきかと」

「具体的には?」

「私、この鎧の中身が無い事は御存じの通りですが、故に蘇るための肉体を持ちません」

「勇者たちの肉体を無くせという事か。『貴様らの肉体をこの世から消してやろう』とでもするべきか」

「しかしそれだと漠然として分かりにくいかもしれません。『再び蘇らぬよう』と一言加えるのがよろしいかと」

「『再び蘇らぬよう、貴様らの肉体をこの世から消してやろう』これで良いか?」


 魔物たちの中から一等の獣が飛び出す。


「恐れながら」

「キメラよ、発言を許す」

「残酷さが足りないかと。『消す』よりももっと震え上がるほどの言葉を」

「肉体を消す……ふむ」

「『食らう』と言う表現はいかがでしょう」

「悪くない。残酷さが際立つ」

「それでは、『貴様らの肉体を食らってやろう』と言う台詞で決まりですかな?」

「もう一つアクセントが欲しいな。丸飲みしているような感じがする」

「では、『臓物(はらわた)を食らう』とすればいかがでしょう?」

「それは良い。残酷さも際立ち、かつ肉体も失わせて蘇生の希望を打ち砕く絶望感がある。だが、中途半端感があるので、『食らいつくす』とするか」


「では、これまでの意見をまとめますと『よく来たな勇者たちよ。褒めてやろう。だが、貴様らの冒険もここまでだ、再び蘇らぬよう臓物を食らい尽くしてやろう』となりますな」

「良い。これで行こう」


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