第19話出発の準備
初めてのクエストに期待しながら、旅の支度をする。
隊商の護衛ってことは戦闘もあるだろうから、サーリャの武器とか防具も必要だな。
「サーリャ用の武器と防具を買おうと思うんだけど、どんなのがいいかな?」
「実は出発前にソフィア様から頂いてるのですが、私は防具を付けたことがないので、短剣が二本だけ持つようにしてました」
「なるほど、まぁ無理につける必要はないけど、なにかあったら怖いし、防具付けても支障がないなら付けてくれたほうが安心かな」
「わかりました。私も貰った防具をまだ袋から出してないので開けてみます」
荷台にいつも乗っていたが開けられたところを見たことなかった鞄の元に向かうサーリャ。
なるほど、あれソフィアに貰った防具が入ってたのか……。
「こ、これは……」
鞄を開けたまま動かないサーリャ、なにが入っていたのかと思い覗き込んでみる。
レザーの黒いショートパンツにレザーの黒い胸当、皮と布を上手く使われた腕貫きに、膝上まである黒のブーツにその下に履く様の白いニーハイ。
ソフィア。解ってる。解ってるよあいつは。俺の好みを完全に理解しているよ。
「こ、これはさすがに着れません……」
「え!? なんで!? 絶対似合うよ!?」
「これじゃあ肩やおなかが丸見えですし、正直防具をつける必要はないと思ってましたから、無駄に肌を露出するだけの気がします」
まずいなんとかして丸め込まなければ……。
ふと、鞄の下のほうにもう一つの袋と手紙らしきものを見つける。
「これ手紙かな?」
「みたいですね、ソフィア様からですか?」
「見てみるか」
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『やあ、セインにサーリャ、旅は順調だろうか?
私の可愛いセインや、サーリャが安全に目的地に着くことを願うばかりだ。
セインは強いがまだまだ子供だ、なにかあったらサーリャが助けてやってくれ。
サーリャのために装備を用意した。きっと似合うと思う。着てくれないと私はすごく悲しい。
その装備は城の宝物庫にあったものをかっぱらったものだ、だれも気がつかないから安心して使ってくれ。
露出部分が多いが、すべての装備に魔法が付与されたとても強い装備らしい。
獣人族は防具はあまり使わないと聞いたので、その装備も防御ではなく身体強化の付与が掛かっている。
ブーツは足が速くなるし、蹴りなどの威力も上がる。腕抜きは単純に腕力を上げる。
胸当てと短いパンツは魔力活性を強化してくれるという一品だ。
正直かなり貴重なものだが気にせず使って欲しい。
それを着たサーリャが見たかった。きっと可愛いだろう。
セインはいいとしても他の男どもに見られるのも癪だから、白いケープも用意した、この手紙の下の袋に入っている。
それで肩や体は隠せるはずだ。太ももは見えてしまうが、そこだけあえて見えるのもまたいいだろうな。
ケープも魔法防御と物理防御の魔法を付与した一品だ。
これで男共の目からも、攻撃も守ってくれることを願う。
では気をつけて旅を続けてくれ。やっぱり私も見たかったなぁ……』
ソフィアより
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うむ。やはりソフィアの中にはおっさんの心が混ざっているんだ間違いない。
「サーリャ、これは着ないとソフィア様がうかばれないよ」
「そう……ですね。ここまで私を思ってくれてるなんて……。それに貴重な装備を頂いて使わないのは申し訳ありませんし、着ることにします」
「うん。うん。でも俺の前以外でケープは取らないでね?」
とりあえずこの後すぐ街を出るだろうからと、サーリャには宿で装備を着てもらった。
うん。やばい。おヘソが美しいおなかや、隠れていない肩口、ブーツから少し上まで出ている白いニーハイとレザーパンツの間の絶対領域。
胸が強調されるレザーの胸当てに、サーリャの形の良いお尻が強調されるレザーパンツ。
いい。すごくいい。ソフィアグッジョブ。
我慢が苦手な俺は、そのまま押し倒し、サーリャとニャンニャンした。
この防具を着けての初めての戦闘相手は俺になった。
悪いなソフィア。頂きます。
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宿での一戦を終え、とりあえず朝食を食べるため、この街でお世話になり続けた、犬族のウェイトレスが可愛い飯屋で朝食を取る。
とりあえず装備をどうするかという問題は片付いたし、そろそろ正午の出発の時間も近いし、集合場所の街の外門に向かうか。
「サーリャ、そろそろ外門に向かおう時間もそろそろなさそうだし」
「朝のことがなければもっと余裕があったと思いますよ」
「サーリャはいやだった?」
「いえ、気持ちよかったですが……」
うんだめだ、また宿に向かいたくなるがここは我慢だ。
サーリャの手を引いて飯屋を後にし、外門に向かう。
大きな杖や馬車はさすがに持っていけないので、最低限の荷物以外は冒険者ギルドに預けた。
やはり冒険者ギルドは便利だ。
大好きなサーリャにおいしい飯、経験したことのないことばかりの世界、俺は心地良い風を感じながら、二度目の命とセレスに感謝し、外門に向けて歩を進めるのだった。
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