第4話 一緒にいたいだけ……
「色々、考えたんだよ……」
(うん?)
「あのね、美味しいモノを一緒に食べるより、ただ一緒にいることのほうが大事だよ~」
私と彼女の共通点のひとつが、1日1食の食生活ということである。
少し思考が違うのは、彼女は1食を短時間で食べ、私は長時間で小分けに食べること。
そして、彼女は1食を出来るだけ愉しみたいのであるが、私はフルコースでもカップ麺でも気にしないということである。
おそらくは誰かとの食事は彼女にとって非常に重要なイベントなのだと思う。
好きな人と共有する大切な時間であり、無駄にしたくない時間なのだ。
惜しむらくは、甘味以外は小食であり、甘味に異常な執着を持っているところだ。
食べ物を捨てることを嫌い、食べかけを持ってくることもある。
自分でも、かなりギリギリの食糧を食べることもあるらしい。
いつぞや職場の冷蔵庫の整理を勝手に行い、だいぶ嫌われたようで、いまでもトラウマになっているそうだ。
悪気は無かったらしいが、他人の食糧を勝手に捨てたり、持って帰ったりしたからだそうだ。
「他人の物なんて触れなければいい」
「でも、もうダメになると思ったから捨てたり、食べたりした」
「うん、だから嫌われたんだよね」
「そうかな?ダメだったかな?」
どうも、そういう他人との距離感を掴むのが下手くそなのだと思う。
本人は怒るが、『通』とは似て非なる存在なのだ。
最近は私の顔色を伺い、胃袋のギリギリを見極めている最中だ。
おかげで(私が拒否するせいもあるが)ここ3回ほどは腹を壊していない。
本人の弁によると、気を使っているとのことだ。
逢えるときに逢いたい。
次に逢う日を決めておきたい。
不確定要素は嫌なのだ。
最近は贅沢な食事を減らして、回数に移行したようだが、結果でていく金が変わらないのが私の悩みだ。
私の結論は、宝くじに当たる、これしか方法がない。
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