第3話
「これヤバくね?」
夢の中では放課後の宮殿のところで暴れていたのに何で地上にいるのかと二人があたふたしているその時だった。
パリーン
家の中で何かが割れた音がした。
音が聞こえたのは多分トイレの近くにあるでっかい窓だろう。
音のしたところへ行ってみるとそこには
俺らに気づいたのか女の子は起き上がり何かを訴えている。
「Luttez s'il vous plaît à la hate」
しかし、何語か分からない言葉を話しているので二人とも口が大きく開いていた。
すると何を言っているのか伝わらないと気づいたのか日本語で話してくれた。
「ワタシハモコデス。スキナタベモノハ・・・・・・ッテチガウチガウデス。イソイデクダサイデス。タクティスヲタオサナカッタラミナサンカナシミマスデス」
片言に話して語尾に「です」をつけるのが可愛い。
モコが泣きそうな顔でお願いしているので
行こうと玄関で靴を履いている時にモコは赤い石をくれた。
「コレモツカッテタタカッテクダサイデス」
使うとはどういうことなのだろうか。
お守りか何かなのだろうか。
太陽は使い方も聞かずに飛び出していった。
タクティスは近くにある駅前の大型ショッピングモール付近に移動しで暴れていた。
俺たちは勇気を振り絞ってタクティスに近づいて行った。
このタクティスは夢の中にはいなかったタイプだ。
なんていうか人間が想像するドラキュラみたいな感じだが、ドラキュラではなさそうだ。
でも、なんかとても美少女だ。
目は細めだが、口からは長い牙が見えている。
「なんだお前ら。俺らに近ずくとはとんだお馬鹿さんか?」
口調はムカつくがそこがまたかわいく、個人的には倒したくない。
それよりも、タクティスってしゃべるんだ。
「モコさんだっけ? ここであいつらを倒せば良いんだろ?」
「OUI《そうです》。倒しちゃって下さいです」
モコさんはさっきまであんなにカタ言で話していたのにもうすっかり日本人顔負けのような話し方になっていて驚いた。
喧嘩などは得意ではないが周りで泣いている子供たちのためにも少しでも戦える力の持っている俺たちが戦わなくてはならないよな。
「行くぞ桜」
桜は顔を曇らせながら初めは戦うのを拒んでいたが街がどんどん破壊されていく様子などを見て「わかった」と返事をしてくれた。
「アーカイブの記録に頼り剣《つるぎ》よ我に力を 」
「アーカイブの記録に頼りマグマよ我に力を」
周囲は緑と赤の光に包まれた。
太陽は剣を手にした。
桜の髪は赤髪に変わり衣装は赤く可愛くなっていた。
まるで桜は火の聖霊みたいだ。
赤毛で魔女帽子にマントにステッキ。
本物の魔女・・・・・・魔法少女を見ているみたいだ。
「魔法少女『桜』華麗に爆誕です」
まだ魔法らしいものは衣装くらいみえないが強そうである。
俺は衣装も変わらないし、炎なども纏わなそうなので本当に鋭い剣なだけであるが悔しいが今はそんな事を言っている時ではない。
「俺の名はギルドス。そーかお前らは戦士だったのか。まー俺の手にかかればイチコロだな」
そんな死亡フラグの言葉に構っているほど俺らは優しくない。
「行くぞ」
そう言って走っていった。
太陽はただただ重いだけの聖剣を振り回す。
はたから見るとおもちゃの剣で子供がよくもパパやママを~と叩いているようにも見える。
ドカ。シャキーン。ドシュ。
そんな効果音が聞こえてくる気がする。
攻撃は当たっているが全くダメージを受けていない。
全くビクともしない。
太陽は
やっぱり鋭い剣では意味がないのかと少し諦めかけている時、炎の玉が飛んできた。
桜が放った魔法らしい。
俺はあの球を見た瞬間、強すぎだな。俺いなくても・・・・などと思ってしまった。
その後もアタックを続けているが疲労が溜まりこちらがダメージを受けている。
「その程度の実力か。聖剣グランディーを出したくせに使いこなせてないカスと魔法が使るのに戦うことを恐れておどおどしているやつとそんなのが俺を・・・・・・グハ」
桜は大きな火の玉をギルドスに投げつけていた。
「私を見くびらないでよね。これも作戦なのだから♪」
「桜スゲー」
そんな作戦いつたてたのか。
立てたのなら教えてほしいものだ。
「さあグランディーの使い方を教えなさい! さもなきゃここで倒すよ」
「お嬢ちゃんわかったからその火の玉を消して。消したら話すから」
多分あの火の球をくらわせたら勝てるのであろう。
桜は言われた通り火の玉を消した。
思っていたように火の玉を消した瞬間にギルドスは襲ってきた。
「すんなり話すとでもおも・・・・・・」
桜の目は鬼の目よりも怖い目で睨んでいる。
するとすんなりと話してくれた。
臆病者おくびょうものなんだな。
と、言うより悪役として向いていないと思うのは俺だけだろうか。
決して正義を貫くヒーロータイプでもないが悪役は・・・・・・ないな。
「俺もあんま知らねーがタクティスのボス的存在のリザードマンのような姿をしているドラグレスを確か封印をするとかなんとか言っていた気がする」
そこでギルドスは水の球に打たれて倒れた。
初めは桜が打ったのかと思っていたが桜はマグマのままだったので、何が起こったのか分からなかった。
俺のただの予想だが多分、水属性のタクティスか何か味方にやつに口封じのためにやられたのだろう。
何かかわいそうな気がするが地球のために倒せて良かった。
ふと辺りを見渡したら近くにいるマスコミの報道や見物人が大勢いて怖いと素直に思った。
そう思っているとモコさんが魔法か何かで記憶などを操作していた。
そんな能力あるなら早く言えよなどと思ったが、今は感謝だ。
「説明は私の仕事なのだからねです。勝手に人の仕事をとるからバチが当たったのよです」
どこかにいそうなツンデレってやつですか?
「まあ落ち着いてモコさん」
「落ちつけるわけ・・・・・・自分を見失っていたです。ごめんなさいです」
「んで、モコさん」
「何ですかです」
「あいつが言っていたことは本当なのか?」
「OUI《はい》。悔しいながら全て正解なのです」
「よーしタイちゃん、モコちゃん帰るわよ。私について来なさい」
と上から目線で言いながら変身を解いた。
少しは話を聞いてあげろよ。
モコは咳払いをしながら続けた。
「リザードマンのような形をしたドラグレスを封印し、聖剣グランディーの穴が開いている所にドラグレスが入っている石を装着するのです。そうすると、えーと日本では・・・・」
何か辞書見たいので調べている。
「モードチェンジをすることが出来るそうです。その時は確か『アーカイブの記録を頼り○の精霊よ我に力を解き放て! ○龍よ我とともに戦え!』と言いながら天に突き出すのです」
俺は鋭い剣と赤い石を交互に見詰めた。
赤い石だけが異様に光っている気がした。もしかしたら俺も炎を出せるのかと思いやって見たかったからだ。
「アーカイブの記録を頼り火の精霊よ我に力を解き放て!
するとさっきまで鋭いだけの聖剣グランディーから炎が出てきて炎の渦に巻き込まれた。
「おぉぉぉ。本当に炎が出たよ」
そして太陽は衣装を着ることができた。
右胸には《炎》草書で大きく書いてあり、炎を纏まとった姿だ。
右の腰あたりには
「やったじゃんタイちゃん」
「モコさん。他の石は持っていないのか」
「NON《いいえ》。火の石は他の地域の方が封印されましたものだです。だからつかえたのです。確かもう一つ封印されていたと思うです。ですが、手元にはなさそうです。聖剣グランディーには石が埋まるところがあるとさっき言ったです。その穴に入る石がまだあるはずだです。何かは覚えてないですが見つけなくてはいけないです」
やることが大きすぎて太陽は少し混乱していた。
聖剣グランディーは石を装着するところ以外にも駅に置いてある改札機のスイカをタッチするところのような場所があった。
「モコさん。この広いところは何ですか?」
「ごめんなさいです。私もそこはまだわからないです」
モコさんはうつむいてしまった
その反面桜はドヤ顔をしながら仁王立ちをしている。
そんな桜を無視しながら太陽は、
「大丈夫。分かったら教えて。そうだなタクティスたちも強くなるかもだしな。俺らも強くならないと。今日はひとまず家に帰るか」
「おぉ」「おぉです」
モコの帰る場所がないと思い杉並家で預かることにした。
「それでは改めましてモコです。よろしくおねがいしますです。モコって呼んでくださいです。私は古代勇者様から派遣されたです。知識はみなさんよりか、豊富だと思いますです。ですが、いろいろ欠けているところがあるかもなのでそこの所は臨機応変りんきおうへんということでよろしくお願いしますです」
「よろしくね。モコ」
「よろしくね。モコは古代勇者さんから派遣されたってことは古代人なの?」
桜の質問は俺も感じていたが、モコは何を言っているの?のような顔をしていた。
「ちがうです。私は現代っ子なのです」
モコは小学生五年生の平均身長くらいの大きさだ。
しかしモコは俺らと同じ中学二年生らしい。
髪は金髪でセミロング。
大きな緑の瞳がキラキラと輝いている。
絶対モテるのだろうと思うほど童顔だ。
それから数日が過ぎ、モコも俺らと同じ学校に転校してきた。
そしてうちに居候だ。
良く父親も許したよな。
その日から美少女なドラキュラのようなタクティスは地上に現れた形跡がない。
ドラグレスもどうようだ。
弱そうな人型のタクティスは何体か現れて来たけど。
今のうちにと二人とも太陽の能力が上がる石があると信じて地下へいった。
「「・・・・・・」」
タクティスがたくさんいた。
ある大都市にあるテーマパークの一日の入場者数くらいいた。
二人では絶対に倒されてしまうと思い引き返してしまった。
「なぜ引き返すのですかです」
二人は青ざめた顔で言った。
「「殺す気か」」
「・・・・・・。そうですねです。もっと力をつけないといけないです。太陽さん。桜さん。頑張ってくださいです。まだまだ力不足でお役に立てなくて申し訳ありませんです。早く追いつけるよう頑張るです」
モコは今にも泣きだしそうな顔をし、次に拳を高く上げ頑張るぞと少し明るい表情をしている。
「いやいや、モコは戦い以外のところでサポートしてくれているじゃん。頼りにしているよ。ね。桜」
「そうだよ。これからもよろしくねモコ」
「ありがとうです。これからも全力でサポートするです」
その時のモコの顔は雨上がりに咲く花のように美しかった。
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