第2話
ペンダントと一緒に入っていたのは一通の手紙だ。
多分この手紙は桜がくれたものだろう。
手紙の内容は
《家 トイレ 地下 宮殿 宝 》
と書いてあった。
意味がわからない。
家のトイレに地下へ行く道があっそこに入ると宮殿であるのか?
そんな馬鹿なことがあるかと、嘘だと思って
それから二週間が過ぎようとしている。
少し太陽も気になっていた。
あの手紙を俺に渡したのは意図があったのかと思い学校帰りに半信半疑で自分の家のトイレに行った。
するとトイレマットの下に扉があった。
「ゔぇぇぇぇえええええーー」
家の近くを通った人が全員振り返っただろう。
少し赤面してしまった。
本当にあるとは思わなかったが興味本心で入ってみた。
中は懐中電灯がなくては前が見えないほど暗かった。
どのくらい階段を降りたのだろう。
暗闇の中をどんどん降りていくが一向にゴールが見えない。
飽きて引き返そうか迷ったあたりでやっと平坦な道へでた。
降りた先には矢印が指していた。
太陽はその矢印の方向に進んだ。
矢印がなくなるとそこには手紙通り宮殿があった。
さっきからびっくりして仕方がない。
しかもそこには桜のすがたがあった。
「遅いよタイちゃん。来てくれないのかと思ったよ」
「そうか? 信じるほうが可笑しいよ」
「まーね。先ずは地下宮殿へようこそ」
「地下宮殿?」
「そーだよ。地下宮殿! 二人だけの秘密の場所。なっちゃんに内緒だからね」
「秘密はわかった。というか地下宮殿ってダサくないか?」
「え? じゃあタイちゃんが決めていいよ」
「う~ん。放課後に桜と出会った宮殿だからそのまま『放課後の宮殿』にしようぜ。反対は認めません」
桜は少しうつむき思い出したくない過去を思い出した様子を見せた。
しかし、すぐに太陽をみてにっこりと笑いった。
「はいはい。反対はしませんよ」
「そういやここって何をする場所なんだ?」
「うーん。わかんない。二人だけの秘密場所って事で。まあしいて言うならあの箱開けてみる?」
桜が指した方向にはミイラが入っていそうな大きな箱があった。
いや、絶対ミイラか何かいるだろ。
でも少し興味はある。
開けてみたいと思ってしまいまたもや興味本心で開けてみた。
すると太陽の光もなく、二人が持っていた懐中電灯の明かりしかないこの場所で爆発したかのように二人は光に包まれてしまった。
何があったのかその時はわからなかった。
二人はしばらく話してから解散した。
翌日になるまで何が起こるかは誰も知る余地がなかった。
《リアルと妄想》
「先生! 久しぶりに面白そうな作品が出て来たじゃないですか! キャラは地面に足がついてないですけど」
「足がついてないとは具体的にはどんなのですか?」
中野さんは顎に手を当て考えた。
またそのポーズもたまらないで。ごちそうさまです!
「例えばだけど髪が長くて眼鏡をかけている子ってどんなイメージ?」
「静かな子かなぁ?」
「なら私の事を地に足つけるとしたらどんな感じですか?」
「中野さんは・・・・。ショートな赤髪にとがった八重歯みえ、小顔で少し目が細くつり目、猫耳パーカーにへそ出しショーパンの小っちゃいおん・・・・女性です」
「それは、私を見たまま言ってるだけな気がしますけどまぁいいです。どうせすぐには出来ないと思いますし。あ、今更ですけど、今言うのもなんですけど中野さんじゃなくて下の名前で呼んでほしいです! もう先生とはこの業界で私が一番仲いいんですから!」
夢かと思いキョトンとしてしまったが「恥ずかしいので二度も言わせないでください」と言われなぜか背筋を伸ばし敬礼し「呼ばせていただきます」といった。
「はい。じゃあ名前読んで!」
左目を瞑り右手を差し出す。
「み、美――――」
「ごめんなさい。忘れてください。そ、そうよね。ショートカットでパーカーを着てショートパンツを良く着る子は活発に見えるよね! 私が言いたかったのはそういうこと。先生の小説の中にはそういうのがないからここは書き直しね」
顔を赤くし、早口で言っていたので何を言っていたのか僕の中には入ってこなかった。
てか、み、
《リアルと妄想》
《放課後の宮殿。》
次の日の朝、太陽は面白い夢を見ていた。
太陽はある宮殿の近くにいた。
多分、桜といたあの宮殿だろう。
太陽は何かこの宮殿には隠された謎があるのではないかと思った。
その宮殿の周りには数知れずのモンスターと
モンスターをここではタクティスと言うらしい。
名前の意味はないがそっちの方がカッコいいからそう呼ぶだけらしい。
タクティスをどんどん倒していくある二人の戦士とサポーターらしき人がいた。
一人は聖剣、もう一人は魔法を使い倒している。
タクティスの量は多く三人で倒せる量ではない。
そこで三人は・・・・・・
「タイちゃん? タイちゃん? おーい生きていますか?」
え、その声は桜?
「桜もいるのか?」
「うん。いるよ。これって私たちが開けた箱だよね?」
桜は近くにあったミイラが入っていそうな大きな箱をさした。
「そーだな。俺たちは封印されたタクティスを
「君達。そこで何をしているのだね」
勇者の一人がやってきた。
「あ、いや怪しいものではございません」
「もしかして封印を解いてしまったのかな」
「多分そうです・・・・・・」
「そうか未来でタクティスが暴れては仕方がない。特にドラグレスが・・・・・・。君たちにこの本を授けよう。この聖書と魔道書を使ってタクティスを倒してくれ。この場所で暴れているならまだいいが地上に出てしまったら大変な事になるぞ。心して闘え。あ、二人のために俺の最も信頼できるサポーターを派遣しておくからヨロシクな!あくまでもそいつはサポーターだ。戦いはできない。確かそいつの名は――――――」
そこで夢は終わった。
《放課後の宮殿。》
太陽が起きたら持っているはずのない国語辞典くらいの大きさの聖書を握っていた。
中を見てみると聖剣の設計図が書いてあるがそれ以外は破れていて見えない。
なぜ、もらったばっかりなのに破れているのだろう。
破れているなんて・・・・・・。
桜はどうなのだろう? など色々なことを考えていた。
桜が夢に出て来たのだから桜も持っているかもしれない。
そう思って桜に電話をしようと思った。
その時、桜も同じことを考えていたのか慌てた顔をしながら家の前に来ていた。
それも魔道書を持って。
「タイちゃんも宮殿の夢みた?」
桜はゼーゼー言いながらも真剣な表情で言った。
「みたみた! あの時話たよな?」
「話した。ということは本ももらったよね? 国語辞典くらいの大きさの本。何が書いてあった?」
桜は太陽が聖剣使いではなく銃や槍使いだったらよかったと思っていた。
「聖剣の設計図があって他は破れていてみられない」
「え、本当? 見して」
桜は国語辞典くらいの大きな本をじっと見た。
設計図の下に何か文字が書いてあった。
そこには、
《アーカイブの記録を頼り
と叫ぶと聖剣が現れると書いてあるらしい。
俺には読めない。
「試しに呼んでみようよ」
「カーカイブの記録を頼り剣よ我に力を」
部屋の中は緑の光に包まれた。
そして、聖剣が登場した。
《リアルと妄想》
「待って『アーカイブ』が『カーカイブ』になっていますよ」
赤ペンをとり出し訂正しようとした。
しかし、そこは間違えではなかった。
優は美梨の手を持ち、首を振りそのまま続きを読むようにと言った。
《リアルと妄想》
ってあれ? これって孫の手じゃん。
「聖剣でてこないじゃん」
「いやいや、カーカイブの記録を頼り剣よ我に力を、じゃなくてアーカイブの記録を頼り剣よ我に力をだから。それよりも不思議だね。カーカイブの記録を頼り剣よ我に力を、っていうと孫の手が出てくるのね」
いや、正直間違えたことはわかったが、一文字変えただけで聖剣から孫の手に変わるなんて思いもしなかった。
「よーし改めて言うぞ。アーカイブの記録を頼り剣よ我に力を 」
またもや緑の光に包まれた。
今度こそ聖剣が出てきた。
「「カッケー」」
時が止まったかのように二人はずっと聖剣を見つめている。
聖剣を手にした今の感想を言おう。
重いだけでいらない。
特殊能力とか使えるかどうかもわからないのでただ重く鋭い剣でしかなかった。
聖書さえ破れてなければ使えたのかもしれないがここで使ってしまうと家が吹っ飛ぶかもしれないのでどっちみちこのままであっただろう。
「桜の能力はどんなのだよ? 俺のはただ重く鋭い剣が出てきただけだけど桜のは魔法っぽいよな? どんなのが使えるのだ?」
「私のはマグマ、忍者、雷、氷河、重力、時を一時的に止める力の六つの力を使えるらしい。その六つは地球から借りて攻撃する魔法らしいよ。私も途中から破けていて最後までわからないけど」
破けているのは同じらしい。
「地球から借りるねぇ~。それって本当に借りられるのって感じのもあるけど・・・・・」
「私もわかんない。けど使えるんだから文句言わないの。減るもんじゃないと思うし」
その後、やってみようか?と突きつけられるが丁重にお断りした。
と、言ってもこんなのいつ使うのやら。
そう思いながらテレビを見ると・・・・。
「皆さん見てください。ここ『水瀬市』の『もね駅』にいかにもヒーローと戦いそうな奇妙な怪人みたいな生物が現れました。近くにお住まいの方は――――――」
水瀬市って俺たちの住んでいる街じゃん。
しかも、もね駅って家から徒歩十分弱の所じゃん。
そんなところでタクティスが暴れていた。
《リアルと妄想》
「どんだけ先生は水瀬ゆんさんが好きなんですか? 市の名前が水瀬市で、しまいには駅名が水瀬さんのライバルであり、親友の佐倉萌音さんですよ。ワタシノナマエモツカッテクレレバイイノニ」
最後のほうは何言っているのか聞き取れなかったが使ったのは認めます。
だって好きなんだもの! しょうがない!
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