【む】ムギワラギク
『ムギワラギク』はオーストラリア原産の花で、日本には江戸時代末期に入ってきました。
花に独特の光沢があります。学名の『ヘリクリサム』はラテン語で『太陽の黄金』という意味なのですが、そのメタリックな光沢からだそうです。手にするとカサカサする独特の感触は、含まれるケイ酸によるものだそうです。
私には、別名の『帝王貝細工』のほうが馴染み深かったですね。
よくドライフラワーにしてあるのを見かけるのですが、それだけに花言葉も『永遠の記憶』『常に記憶したい』『永久に記憶しなさい』『いつも覚えていたい』と、記憶がらみのものが多いですね。
他にも『思い出』という花言葉があります。ドライフラワーにしてとっておくことによって、思い出をとじこめているからでしょうか。
私の母も帝王貝細工をドライフラワーにして玄関に飾っていたことを思い出します。艶を帯びたシックな赤とオレンジの色彩に心を奪われました。
そのとき、母に花の名を尋ね、「帝王貝細工よ」と教えてもらったのです。なるほど、貝細工のような不思議な艶をしているものだと感心した覚えがあります。
北海道の住宅には寒さ対策として『玄関フード』という造りがあります。玄関フードとはつまり、冷気や雪が玄関に直接入り込むのを防ぐ風除室なのですが、母は必ずそこに濃い赤とオレンジの帝王貝細工のドライフラワーを飾っていました。
仕事で疲れて項垂れたり、寒さに背を丸めていたり、そんな落ち込んだ気分で玄関フードに入ると、真っ先に帝王貝細工が目に入ります。思わず「綺麗だな」と見とれるたびに、いつまでも艶を失わない花が、その都度元気をわけてくれるような気がしました。
枯れても美しい花もあるんだから、どんなに気分が枯れても萎れちゃいけないなと、ちょっと顔を上げて玄関の扉を開けるのです。
現在住んでいる群馬県の野菜直売所に行くと、時折この花のドライフラワーを使った工芸品を見かけます。そのセンチメンタルな色合いを目にするたび、玄関フードに今も帝王貝細工を飾っている母を想うのでした。
この花の花言葉ひとつひとつが、北海道にいる母と結びついて涙がにじみます。特に『献身』という花言葉はしみますね。群馬県に嫁いだことで、母のそばにいられなくなりました。何かアクシデントがあっても、すぐに駆けつけることができないかもしれない。ちょっとしたことでも話を聞いてあげられる機会も電話でしか作れない。いざというとき、献身的に尽くせるのか不安です。
結婚したときに覚悟したはずですけれど、親の老いを感じる年代に入るとどうしてもセンチメンタルになりますねぇ。
ムギワラギクは2/22、2/28、5/24、6/23、7/11、7/17、7/25、9/2の誕生花だそうです。
ムギワラギクの花言葉一覧:『思い出』『献身』『真実』『永久に』『永遠の記憶』『常に記憶したい』『永久に記憶しなさい』『いつも覚えていたい』
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