TYPE B
@BALmf
第1話 プロローグ
何も期待なんて出来ない時は、
本当に何にもないから、
この恋に出逢っても
たとえ出逢っていなかったとしても
心はぽっかり空いていた。
変化は連鎖して、
更なる変化を呼び起こすんだ。
何が最初で
何が原因かなんて
そんなの分からない。
仕事を転職して
自動車会社に入社した。
勤務地が変わり
この街に引っ越した。
車なんて乗ったことがなかったから
免許を取りに行った。
あの人に出逢った春
三十歳になっていた。
歳がうんと離れた彼氏が
プロポーズしてくれた。
変化の波に呑まれずに、
今までも
これからも
もう何年もずっと、
素のままの私を全部受け入れてくれる
彼氏を残して。
恋は
それが永遠に続くことを願うこと
愛は
この先も永遠に続くことに耐えること
すでにこの手の中には
絶え間なく注がれる、
こんなにも寛大で
変わることのない愛が
満ち溢れているはずなのに、
それを背負っていく
覚悟も
優しさも
無かったから、
いっぱい、いっぱい、
恋していた・・・
永遠なんていう幻を
恋は願うだけだから
愛よりすごく簡単で、
だけど、
あのひとときだけは
キラキラ輝いていた。
後悔なんてちっともないけど、
一つあるとしたら、
それでも変わらず続いていくこと。
こんな私の裏切りを、
「自分が私に与えられなかったトキメキを、
代わりに与えてくれたあの人に感謝している」
そんな風に片付ける彼氏を
黙ったまま見つめていたこと。
このどうしようもなく
ぽっかり空いている私の心を
埋めようともしないまま、
まるで何事もなかったかのように
消えていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます