電脳と現実のクロム

りり

サリシクイネ・オンライン

一話 サリシクイネ

「セームフェリオ!!」

巻き起こる爆風と共に声が駆け抜ける。

一人の少年が、次々と現れるゴブリン・リザード・スライムはたまた中型のドラゴンなどなど多種類の敵を蹴散らしていく。


【エターナルファンタジーオンライン】

通称EFOと書いてイーフォと呼ばれる、MMORPGだ。


「ふぅ、よし集まった」

そして現在進行形で行っていたのは、MMOに限らずゲーム特有の期間限定イベント。

正直、大した限定イベントでは無いのだけど、期間中にモンスターからドロップする素材を指定数納品すると、スイカ装備とか言う謎の被り物装備がもらえるらしい。


にしても。


「はぁぁぁぁぁぁ…しんどかった」

元よりEFOは過疎の原因としてゲームバランスが一番とやかく言われているんだけど、アイテムドロップ率やらスキルの火力やら…にしたって…

終えるまでに倒したMOB討伐数が約1000に対して、必要アイテム300

帰宅してから、ぶっ通しで5時間狩ってやっと終わった。

うん、見事に夕飯時を逃して現在PM21:00

バランス云々より、指が腱鞘炎になるって。

※良い子は間にしっかり休憩を挟みましょう。


「ふぅ…んっ?」

期間イベNPCに報告を終え、一息ついていると視界の先に小柄な少女の姿と点滅するチャット欄が映った。


「クロムいるかな?」

それは、つい最近1人で狩りに困っていた所を手伝ったことによって知り合った少女


彼女の名前は、スゥ。

白髪にぴょこっとした猫耳。

服装は、高レベルの魔法職の人達に愛用されているフィオナのローブ。

というのも支援・強化系スキルの持続時間・効果を増加させる能力を持つ為、魔法職なら絶対通る道であろうとまで言われる名のある防具だ。

ただ…丈が長すぎて…その…


「??」

反応待ちをしながらピコピコする猫耳。

言わずもがな、可愛い。

最近は、ずっとソロプレイヤーだった俺と一緒に狩りをしてくれる心強い魔法使いだ。


「あっ、いるよーどうしたの?」

数秒の静止の後、慌てて返事を返す。


「あのね、装備作るの付き合って欲しい」

「装備?何作るの?」

「えっと、ミストラルリング」


ミストラルリングとは、スゥの職業:エインセルの上位武器にして自身が発動したスキルの効果を2回分に増加して行え、かつその効果を1,5倍に跳ね上げるという代物である。


だが、上位武器とだけあって使用する素材もフェンリルの牙、アインツェルの宝石、レインクリスタル・・・と高難度のダンジョンやフィールドボスモンスターからレアドロップするアイテムばかりなのだ。


「俺も武器の素材欲しいから、手伝うのは大丈夫だけど…けど2人じゃ少し討伐が厳しいかもしれないな…」

さすがにボスモンスターともあって、近接火力の自分と最低限の回復魔法は行えるとはいえ、火力職のエインセルではどうしてもジリ貧になりかねない。

「募集出してみる」

「おkそうしたら、人が集まるまでに狩りの準備しておくよ」

「んっ、わかった」


今にも、裾を踏んでこけてしまうんでは無いかというレベルで、服の丈に合わない小柄な体が、ぴょこぴょこと掲示板へとかけて行くのを眺めながら俺は準備に入った。


††††††††††


しばらくの後に準備を終え、町の中心部に存在する噴水の広場。

「こない…」

一緒にベンチに腰掛けて人からのパーティ加入申請を待つスゥは途方に暮れていた。

「もう30分かー」

ゲーム内画面の右上に小さく表示されてる時計から既にそれだけ過ぎてるのがわかった。


「大体の人が大分揃えてるからなぁ、限定イベントのせいって言うのもあるかも知れないけど…それにしても来ないな…」

正直、ボスドロップも大分市場に出回って来てて苦労して倒さなくても廃課金の方々や、お金を持て余してる人からすれば買った方が早い。

まぁ…無課金の俺らには辛いんだがな。


「にぅ…」

隣に座る、スゥは頭の白い猫耳をへにゃっとさせて俺の右肩に頭を寄せてくる。


うん、可愛い。

名状しがたいほどに可愛い。


「大丈夫だって、最悪少しコストは嵩むけどバフポーション買って2人で頑張ろう」

そう言いながら俺は、スゥの頭を撫でる。

すると突如、「ピコッ」とPT加入申請とは別にゲーム内のメールシステムの通知が届いた。


「ん、メール?」

どうやらそれは、隣にいるスゥにも届いたらしく二人で顔を見合わせる。


送信者:GM


件名:プレゼントキャンペーン


一見するとよくありそうな迷惑メールの様な件名なのだが、GM…?運営であるGameMaster《ゲームマスター》から直々にメールが届いた。


本文:

★こんにちわ、EFO運営チームです。


★毎度EFOをプレイして頂き、ありがとうございます。


★こちらのメールは、EFOアカウントの中で抽選をさせて頂き見事に当選した方々にのみお送りさせて頂いております。


★今回、当選された皆様にゲーム内アイテム「レイジオンの魔譜」の入手キャンペーンを実施させて頂きました。


ふぇぇぇぇ!?


レイジオンの魔譜と言うのは魔奏師レイジオンと言う新たに実装された16人ダンジョンのボスから0,2%の確率で手に入るという希少も希少、むしろ今まで出した人いんの?って言うレベルで、強い効果を装備に付けるアイテムだ。


その効果は、装備するジョブによって異なって…俺が武器につければ今の攻撃力が3倍になり…敵から受ける被ダメージが50%カットに+その他もろもろ…ここまで言えば分かるだろうけどどう考えてもアタマイッテルデショ。


★本メール受信から、ゲーム内NPC会話にキーワードを隠させて頂いており下記の暗号を解けた方にのみアイテムコードを達成後10分以内にオープンβサーバーにて配布させて頂きます。


★尚、解かれた暗号は本メールの返信より記入して頂き送ってください。


★今後もイベント・キャンペーンの実施をしてまいりますので、引き続きのご愛顧を頂けますよう。


★お願い申し上げます。



そう書き記し、メールは終わっていた。



「レイジオンですってよ、奥様」

真横にいるスゥの頬をツンツンとしながら言うと、「ほぅらしいれすね?だんらさま」と返してくる。

旦那様って何か違う気がするけど、まぁいいや。

「とりあえず、ボス狩りもしたいけどせっかくのキャンペーンだしキーワード探す?」

「にゃぅ」


とりあえずキーワードを探すわけだが、【NPCの会話にキーワードを】NPC会話って腐るほどあるぞ・・・


「虱潰しに探すしかないかぁ」


そこから、夕飯の存在何て忘れて2時間と少し。転々と2人で街を渡って探して回る作業。

今、見つかったキーワードは【e69】【e99】の2つだけ。


サービスからもう4年は経過してるNPCは、結構な事MAPも増えNPCが多い。

それに加えて・・・


「会話長いんだよなぁ…」


何だろう。例えるなら、とりあえず道が分からなかったから知らない人に聞いてみたら、無駄にその聞いた人がフレンドリーで何故か目的地までノリノリで喋りながらついて来ちゃうみたいな感じ?

EFOの会話もそれに近いものがあり、何故か話かけたNPCにお勧め商品の良い所を語られたり…お勧めのギルドの噂話をし出したり…それで終わりかと思いきや金策場所の情報まで語り始める。


おかげで、EFO中盤の金策場所に何故か尋常じゃない人が集まるという宗教団体の集会みたいな事が起きた事もあった。


「ねぇねぇ」

「ん?どうかしたスゥ」

そんな事を思ってるとスゥが唐突に声をかけてきた。

「あれ。」


スゥがそっと指をさす。

そこには【NPC会話の赤文字を聞いてきてくれた方に、報酬払います】の看板が立っていた。

そう、俺たちと同じ抽選に当たった人の様だ。


「おぉ、同士がいたぞ…」

仮に情報を共有に金が必要でもレイジオンさえ手に入れば100Mいや、1G単位の儲けなのだ、欲しい人からしたら情報料なんて安いもんだよね。

※1M=100万 1G=10億


とりあえず、行ってみよう。

スゥを連れ看板の元に向かうと、そこには綺麗な赤髪に銀色の鎧を纏った女性がいた。


「あの、すいません~」

「君達、何か用?」


全然情報が来ないのか、殊の外女性は少しイライラした声で反応をする。

「俺たちも、キャンペーンとか言うのに当選したんですけど良ければ情報を交換しませんか?」

となりでスゥがコクリコクリと頭を揺らす。


すると・・・


「やっと・・・」

「はい?」


「やっと来たわ!もうどれだけ待ったかと!」

何やら良くわからないが女性は、「あがって!」と看板のすぐ近くの家に俺たちを招いた。


「あの、全然良く分からないんですけど・・・何が来たんですか?」

女性に出されたお茶を飲みながらスゥも耳をピコピコさせる。

「貴方たちみたいな抽選に当たった人たちの事よ!」

抽選で当たった人を探してる?

「私はね、全装備をレイジオンで強化したくてずっとお金だけを貯めて来たの」


あぁ、俗に言う廃人と言う奴ですね分かります。

「率直に言えば、レイジオンが手に入ったらいくらでも払うから売ってほしいの」

いくらでも…無課金の俺たちからしたら100Mでも大金だが軽く言えてしまうあたりが怖い、廃人怖い。

「その為には、暗号をまず共有しないとって思ってねずっと看板出して待ってたのよ」


「けど、ご覧の有様」

「当選者しかキーワードは見えないらしくて、誰も来ないわ煽られるわ」


お、おおぅ

「けどまぁ、こうやって人が来てくれて良かった」

そういうと、有無を言わさず女性は分かってる暗号をチャット欄に書き込む。

「結構色んなところを私も見て来たんだけどね、これ位しかわからなかったわ」


【a97】【bb2e】【381a】【ee4b】


すごい、この町以外で俺たちも3つ4つの町を聞きまわったけど…

「よく調べましたね」


「最初と2人目のNPCのキーワードを見つけてNPCの傾向で農業NPCが持ってたから色んな場所で絞ってたら意外と当たってただけよ」

凄まじい物欲…的を絞るだけでも難しいのに。


「でね、ここからが問題なんだけどね」

とりあえず、君たちのキーワードを教えてくれる?と言われ【e69】と【e99】を

チャット欄に打ち込む。


【a97】【bb2e】【381a】【ee4b】【e69】【e99】


全く分からん、いや何かxだとかyだとか授業でやった気はするけどさ…


「GMから送られてきた下記の暗号は見た?」

あ、そういえば結局NPCばかり気にしてて肝心の暗号を見ていなかった。


†暗雲の下†


「暗雲の下・・・」


うんうん、と女性がうなづき続ける。

「貴方たちのキーワードが揃うまでどうしても確証が無かったんだけど」

「多分これ、16進数の暗号だと思うの」


うん、何言ってるんだろうね?16進数なんて習った事ないよ、うん。

「で、16進数の通りに文字を当てはめるの、するとね?」

スゥが目を丸くしてポカンとしてるが気にしないない。


【e69】【a97】【e99】【bb2e】【381a】【ee4b】


「並び替えると16進数暗号で†暗雲の下†に近くなるの」

「つまりここの並び順で足りない文字があって」


「【88b】【0d0a】これを足りない部分に足すの、そうすると†暗雲の下†」


いやさ、黙ってたけどむしろ語られてたから黙らざる負えなかったけどさ。

これ俺らいらなくね?俺らのキー無くても行けたんじゃね?


「な、なるほどー!」

「だから、e69a97e99bb2e381aee4b88b0d0a」

「これでレイジオンが手に入るはずよ!」

と言いチャット欄に謎のくっ付いた暗号が流れた。


「あの、結局俺たち何もしてないんですけど!」

「大丈夫だ問題ない」

何か金髪のお兄さんが横切った気がしたが堪える。


「だけど何はともあれ、やったね!○えちゃん!お金が増えるね!」

おいやめろ、と言わんばかりにナンデヤネーンとスゥからぺシっと突っ込まれた。

「さて、レイジオン取引の事は入手してから考えるとしてとりあえず送りましょ」

「はーい」



宛名:GM


件名:Re:プレゼントキャンペーン


本文:e69a97e99bb2e381aee4b88b0d0a



送信をクリック。



「ふぅけど何にせよ、時間は掛ったけど達成できて良かった良かった」

女性の家にも関わらず羽根を伸ばしながらスゥの頭をもふもふする。

「うんうん」

ピコピコする猫耳娘可愛いぞ。可愛いぞ。大事な事なので2回ry。

「私も満足満足、君たちこの後良ければいっsy」


ん?


何か女性が言いかけたと思ったら画面が止まった。

ラグかな?

すると突如「サーバーとの接続が切れました」

あー、これは誰しも無線でPCを使う人には良くある事だ。

PCの電波が届かないと起きる奴。

そう言えばさっき女性が何か言いかけてたな、まぁ仕方ないな…


EFOのログイン画面に飛ばされ。

「再ログイン再ログイン」

キャラを選んでログイン。


瞬間、プツンという音と共にPC画面がホワイトアウトってか眩しい。


「…?あれ?」

おかしい、視界はハッキリしないけど草の臭いがする。

あーとうとう俺の部屋にも草生えたかーwwwwwってちげぇだろ!

自分自身に突っ込んじゃうの悲しい。


それよりも何か変な感じがする。

身体が何か普段より重い、それに加えて何か風が吹いてる感じがするし。

自室にいる筈なのに…ここどこなんだ…?

「細める視界に映るのは白、全てを染め上げる白」


「こちらへ」

「え?」

不意に何者かに右腕を引かれ導かれる。

「しばらく眩しいかも知れませんが目を閉じてゆっくり歩いて下さい」

言われるがまま瞼を閉じて、眩しい視界の先へ足を進めて行った。



††††††††††



「もう、目を開けても大丈夫です」

「あ、はい」

取り戻した視界に映ったのは、白い衣に羽の生えた天使?の様な女性。

周囲には俺を含め複数名がその天使?を見つめておりその中にスゥと先ほどの女性の姿もあった。

うん、どんな状況なんだろうね。


「皆様、お集まり頂きありがとうございます」

はい、お集まりしました。ところで貴方はダレですか。


「本日は、キャンペーンプレゼントの暗号解読をして頂きありがとうございました。」

あぁ、EFOの抽選の奴のようだ。

「私の名前は、レティアと申します。」

「本日は、GMに代行し皆様にオープンβ参加当選した事を心よりお祝い致します」

え?オープンβって何?レイジオンもらえるだけじゃないの?

俺の気持ちを代弁するかの様に、見知らぬ清楚な女性が声を上げた。

「そんな事より、レイジオンの魔譜くれるんでしょう?」

「はい、レイジオンの魔譜に関しましてはプレイヤーの方々に配布致します。」


「但し配布に関しましては、当オープンβオンラインゲーム「サリシクイネ」をクリアして頂いた方から順にEFOに戻って頂き、アイテム欄に配布致します。


その言葉に、当たり前だが女性も含めて他の数名も声を上げる。

「いや、そしたらレイジオンとかいらないから早くゲーム辞めたいんだけど!」

「そういえば…ログアウトできないねぇ…んーサラミうまい」


その清楚な女性と少し小太りな男性が声を上げた。ってかサラミどっから持って来たんだお前。

「当ゲームに関しまして、皆様体感していらっしゃると思いますがMMORPGサリシクイネ・オンラインではリアルプレイヤー様の主観・体感でプレイをして頂ける仕様となっております。」


確かに、そう!何かおかしいと思ったら普段見てるはずのモニターが見えないんだ。

本当に手の届く距離に、スゥが…さっきの女性がいるんだよ!

「つまりどういうこと?」

普段、あまり自主的に話さないスゥが口を開いた。

「当ゲームは、日常の皆様の睡眠時間のみ体験できるシステムとなっております」

要は、寝ててもゲームできますよーって事か、時間が足りない社畜にお勧めだね。


「皆様を招いたのは他でもございません、当ゲーム「サリシクイネオンラインのテスターとして最後までプレイをお願いします」

「尚、当ゲームではEFOの際の皆様のアカウントデータを参照としており皆様自身が体感してその職になり討伐を行って頂きます」

「その都合上、皆様のEFOクライアント・EFOアカウントは当ゲームサリシクイネオンライン」の基本データとなる為、サリシクイネオンラインの辞退・及び、一時的にEFOのプレイが出来ません事をご承知下さい」

「現段階のテスター終了条件としましてはプレイ開始時にメールでご連絡をさせて頂きます」


そこで説明は終わった。

え?終わり?もう終わりなの?もっと熱くry

説明の区切られた、合間に1人の少女の声が混ざった。


「…説明不足」

凄く小さく、単調に言い放った。

おぉぅ、シンプル…だが確かに分からない点の方が多かったので問いかけてみる。


「えと結局、EFOは出来なくなるのも良く分からないけど」

「ログアウト出来ないのはどういう事なので?」

すると、眼つきの悪い鎌を持った明らかに、やべぇ奴が喋った。

「要するにだ、このよくわからねぇゲームクリアしねぇとログアウトできねぇって事だろ?」


いや、あの問いかけるのは良いんですけど何故かみ殺す様な目で僕を見るんですか。

「いえ、ログアウトに関しましては皆様の日常生活を尊重して頂きたいとのGMからの命令がございますので、本日は説明の為に一度皆様に顔を合わせたく当時間を設けさせていただいた所存です」

「本日は、この後「アリエイアの森」に転送させて頂き、その地点で皆様にログアウト出来る様手配をさせて頂きます。」


「なるほど、オリエンテーションって事ですね」

「そうですね、皆様からはそう受け取って頂ければ幸いです。」

律儀にレティアはペコと頭を下げる。

「以後は、皆様の寝てる時間のみプレイ可能となり皆様がご起床になる朝ログアウト出来るという形になります。」


「まぁそんなことは良いんだけど」

と、先ほどの清楚な女性が問いかけた。


「このゲーム私達プレイヤー本人が、戦うのよね?」

それ思った、ってか戦えるのか俺?


「はい、皆様にはご自身の職・スキル等々を駆使して頂き攻略をして頂きます」

「じゃあさ、そのプレイヤーが死んだらどうなるわけ?」


っ!


清楚な女性と眼つきが悪い男性以外全員が気づいてなかったらしく、驚きの表情をしていた。

「プレイヤーキャラクターの死は、デスペナルティとして最初の段階では皆様は数秒~数十秒でセーブした地点に復活致します。」

MMOと同じだ、死んだら30秒くらいで最寄りの町とかに帰れるデスポーンシステム。

「但し、死亡回数を重ねていく毎に復活時間は増えますのでご了承下さい。」


意外と普通のシステムじゃないか。

「復活システムは分かったわ、けどその復活するまでの数秒~あたしたちはどうなってる訳?」

「脳死しています」


ノウシシテイルソウデスヨ。


「脳死って…」

一緒に暗号を解いた女性が呟いた。

「当ゲームプレイに関しまして皆様の脳と直接リンクし、ログイン等を出来るシステムとなっております」

「ちょ、ちょっとまってよ!」

清楚な女性が声を上げた。

「って事はさ、このゲームで死亡回数が増えて脳死時間が伸びると最後は…」

「現実で死にます」

レティアは言い切った。

「ですが、こちらから信号を送れる皆様は現実でそうなる事はありませんのでご安心ください」


そう言い、気が付くと大理石の部屋の中レティアの姿が視界から消えた。

「いや、ちょっと待ちなさいよ!!」


「只今より皆様の転送を行います」

【皆様のご活躍とご冥福をお祈りいたします】

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