道端の詩集

鹿江路傍

作り物の両翼

例え君が月に降り立ったとしても

僕らはお月様の存在なんて信じない



嘘つきのコウモリは空を飛べないダチョウに

蝋の翼を与えたさ

希望に向かって飛べと教えられて

摂氏六千度の光の中に飛び込んで

翼をもがれて苦しんで

それでもダチョウにはその翼だけが

唯一信じられるものだった



嘘つきのコウモリだって気づいているさ

冷たい月に降り立つその意味を



だからと言うわけじゃないが

僕らはお月様の存在なんて、信じない



空を見上げるコウモリは

生まれたばかりのダチョウに蝋の翼を与え

ただ一言、「さあ、飛べ!」と

それだけを、伝える

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